【銘柄分析】パピレス【2021年3月期 第3四半期決算】

  • 2021年2月24日
  • 2021年2月25日
  • 未分類
  • 9view
  • 0件

パピレスですが今後益々需要が伸びていくと考えられる電子書籍のサービスを展開する最大手です。前々から注目してましたが少々割高なこともあり様子見していましたが、最近やや株価も低調気味で割高感も薄れてきたので少し調べてみます。

最新の決算は2021年1月27日発表の2021年3月期第3四半期決算になります。

会社業態及びビジネスモデル

企業概要 電子書籍販売サービス会社。電子書籍の販売(国内670社超の出版社から電子書籍を収集、ネットワーク経由で端末利用者に配信)、提携店を通じた電子書籍販売、電子書籍投稿&編集プラットフォーム運営を営む。電子書籍(小説、趣味・実用書、ビジネス書、コミック、写真集等)販売のプラットフォーム/電子書店・レンタル「Renta!」を運営。アメリカ・中国・台湾・韓国など各国のキャリアや電子書籍サイトと提携、漫画コンテンツを提供。スマートフォンに最適化した「タテコミ」制作を強化。2012年電子書籍投稿サイト「upppi」開設。2013年複合カフェ運営のランシステム<3326>と提携。2015年「Yahoo!ブックストア」運営のGYAOと合弁会社設立。2016年電子書籍配信サイト「犬耳書店」オープン。2018年インフォコム<4348>と資本業務提携、独自のオリジナルレーベルとして「Rentaコミックス」を開始。2020年「電子書店パピレス」「犬耳書店」を「Renta!」に統合。
取扱商品
・電子書籍レンタル販売サイト「Renta!」
・海外電子書籍販売サイト「英語版Renta」「繁体字版電子貸本Renta」
・電子書籍の投稿&編集プラットフォーム「upppi(ウッピー)」、オリジナルコミックレーベル「Rentaコミックス」
企業URL https://www.papy.co.jp/info/

※マネックス証券/銘柄カウンターページより抜粋

ビジネスモデルは非常に分かりやすく、「電子書店パピレス」「Renta」「upppi」「犬耳書店」といった電子書籍を提供するWeb媒体から得られる課金収入および広告収入になります。

媒体ごとの細かい売上の内訳はありませんが「Renta」が主力サービスで、「電子書店パピレス」と「犬耳書店」のサービスは2021年2月末から全てRentaに移管される様です。

Rentaの料金体系

Rentaは基本的には掲載される電子書籍のレンタルや無期限レンタル(=買取と同義)が出来るサービスです。

漫画って一度読んだら意外とリピートしない場合も多いので期間限定で割安でレンタル出来るのは費用も抑えられて中々親切なシステムですね。

大体1冊110円~で48時間レンタルできるような仕組みです。(漫画によって料金体系が変わる場合もあります)。買取の場合は普通に定価で購入するのと殆ど変わらないです。(たまにお得な料金体系になっているのもありますが)

気に入ったタイトルはレンタル後も差額を払えば無期限レンタルにも変更出来るので何度か読みたくなるほどハマりそう、という書籍は購入できます。

すべての書籍は無料サンプル付きなのでさわりだけ少し読めますので気に入ったらそのままレンタルや買取、という流れで得る課金収入がメインの収益源になります。

また犬耳書店は書籍がメインで、Uppiは「小説投稿・漫画投稿・イラスト投稿」がメインの媒体になります。サービスの多角化や新規サービスの発掘として始まっているまだ新しめのサービスですので、あくまで現状の収益柱はRentaになります。

↓事業構造及び今後の成長戦略

 

電子書籍サービスは乱立している状況ですが、既存コンテンツ自体は大きな差はつかないでしょうから、いかにユーザーフレンドリー(使い易い、見易い等)なサイト構造になっているか、中毒性のあるサイト設計か、Netflixの様にいかにオリジナルコンテンツを充実できるか、などが差別化のポイントになるでしょう。

 

株式基本指標

私が銘柄のスクリーニングを行う上で重要視している指標を並べてみます。

基本指標

2021/2/19時点の数値

指標

数値

市場

JASDAQ

上場年

2010年6月23

株価 2,221円
PER 15.8
PBR 2.49
ROE 13.66%
ROA 7.78%
EPS 140.21円
自己資本比率 57.6%
発行株式数 9.86(百万)株
配当利回り 0.45%
配当性向 10.3%
現金同等物 11.392(百万)円 / 2021年3月期第3四半期決算短信
有利子負債 0(百万)円 /2021年3月期第3四半期決算短信
利益余剰金 8,339(百万)円 / 2021年3月期第3四半期決算短信

完全無借金経営で自己資本比率も50%越えと、財務的な懸念点はほぼ無い、といえるでしょう。

取り扱い商品はデータのみですので、固定資産がほぼゼロ、資産は殆ど現金と売掛金、負債は買掛金で殆どが占められます。コストは出版社等電子書籍媒体に発行元に支払うライセンス料の様な費用と、売上は課金収入で殆ど締められると思われます。

Renta等のサイト上でユーザーからの課金(カード払い等がメインなので入金のタイミングは若干タイムラグがあると思われる)されると、おそらく一定の期間後に各出版元に課金の何パーセントを支払っているのでしょう。(基本料金みたいなものもあるのかもしれませんが)

非常に分かりやすいビジネスモデルではあります。

 

独自バリュエーションチェック指標

「1%の人が知っている99%勝てる株が見つかる本」を参考に行う将来のROEや配当利回りを参考にした手法です。これで購入銘柄を決めるわけでは無いのですが、参考にしています。

こちらの各指標を使ったバリューチェックの具体的方法はこちらで解説しているので、それぞれの指標を見ていく背景説明は省きます。(詳しくは別記事で解説しています。)

経年営業利益率
2021年3月期第3四半期累計 10%

2021年3月期(予測)

8%
2020年3月期(実績) 7%
2019年3月期(実績) 10%
2018年3月期(実績) 8%
その他基本的指標 備考/目標基準
配当性向

10.3%

≧50%
増収歴(純利) ≧4年
中期経営目標 中長期の売上目標有
20年後もサービスが継続しているか? 〇/△/× で✖は投資NG
7年後の株価予想 4倍 ⑦の数字を市場平均利回り1.6%(2018年)で割る

長期的に見た株価上昇ポテンシャルは4倍程度とかなり高くなっています。

営業利益率に差が出ているのは広告費や投資による減価償却等の差からだと思われますが意図的なものなのかどうかは不明です、、、

 

株価と直近業績の関係性

経年の業績推移と株価の関係

↓マネックス証券/銘柄スカウターページから抜粋

↓ここ数年の株価の動きです。

 

売上はずっと右肩上がりですが、利益は結構でっこみひっこみがあります。これは既に記載の通り恐らく広告費や投資等のコストによって左右されているのかとは思いますが意図的かどうかは分かりません。

ここ数年の株価のピークは2017年3月頃の3,375円です。当時の決算(2017年3月期)のEPSは115円ですので当時のPERは30倍程度です。

それ以降浮上と沈没を繰り返していますが足元の株価は2017年当時よりかなり下がっています。売上が右肩上がりながらも中々安定して増益を確保できていないことや、電子書籍サービスが乱立しており市場がレッドオーシャン化に近い状態になってしまっているのもあり、市場参加者からすると中々将来の成長を明確にイメージできないのが背景かもしれません。

ただ電子書籍という市場自体は今後拡大していく事はほぼ間違いないでしょう。パピレスの決算短信内にも下記の様な記載があります。

「インプレス総合研究所『電子書籍ビジネス調査報告書2020』」によると、電子書籍の市場規模は、2019年度は3,473億円(対前年22.9%増)と推計され、社会問題化していた海賊版サイトの閉鎖以降、電子書籍の認知度向上と正規サイトの利用促進が進み、売上は拡大が続いています。一方、電子雑誌の市場規模は、2019年度は277億円(対前年6.4%減)と推計され、2年連続の減少となりました。

ちなみに2019年の出版市場は紙+電子で1兆5,432億円という市場があるようです。(全国出版協会のデータ) つまり電子書籍市場は占める比率は約22%程度という事になります。

全てが電子書籍に置き換わる事は無いと思いますが、コロナの影響や市場の伸び率を考えればあと5年前後で半分程度の比率になっている可能性はかなり高いのではないでしょうか?

実際にパピレスの決算資料内にも似たような記述があります。

 

実際私も電子書籍ユーザーですが一度あの便利さをしってしまうと中々書籍には戻れませんね。ついつい気楽に買いすぎてしまうのはお財布に優しくないですが。。。

ただ、何度も書いているように世の中には電子書籍のストアを展開しているサービスが非常に多くあります。

たとえばこのブログでは18社のサービスが紹介されており、かなり過当競争になってしまているのは否めないですね。

こうしたサービスを展開している他の上場企業との割安度の比較やRenta(パピレス)ならでは強みがあるのか?もう少し見てみます。

 

同業種内での割安度(PER)の比較

 

会社名 業態 PER
イーブックイニシアティブジャパン ヤフーの子会社。「ebookjapan」、紙書籍オンライン販売サービス「bookfan」を運営。 19.4
メディアドゥ 電子書籍のデジタル流通会社、業界最大手。電子書籍取次(人気コミック、一般書籍、写真集、雑誌、電子書籍ファイル提供、システム経由提供、オンデマンド配信)や電子書店ストア運営(自社書店サイト「コミなび」)も 55.4
ブランジスタ

電子雑誌出版会社、ネクシィーズグループの子会社。自社完結型電子雑誌(旅行「旅色」、メンズライフスタイル「GOODA」、ベンチャー・起業「SUPER CEO」、「政経電論」、住まい「マドリーム」、ビューティー「Howb」)など

44.1
アルファポリス

・登録・閲覧プラットフォーム「アルファポリス 電網浮遊都市」(サービス/Webコンテンツ大賞、出版申請制度、投稿インセンティブ)を提供

26.0
ビーグリー

電子書籍配信サービス会社。コミック配信「まんが王国」を運営

16.0
インフォコム

ネットビジネス(電子書籍サービス「めちゃコミック」、音楽、エンタメ、ECサービス、ソーシャル・カジュアルゲーム、コミュニティ)など

22.0

イーブックイニシアティブジャパン、ビーグリー、インフォコム辺りがパピレスとかなり近い業態かと思います(ちなみにインフォコムはパピレスの株式を10%程度持ってます。)

この中ではパピレスは若干割安ですが、やはり突出してが高い(期待度が高い)会社はあまりなく、メディアドゥ、ブランジスタ、アルファポリス等のPERが高めの電子書籍関連企業は少しユニークですね。

もう少し足元の業績含めて細かく見ていきましょう

 

直近の業績動向

では実際の2021年3月期第3四半期決算の内容をもう少し掘り下げてみます。

直近決算 1/27 日発表の第3四半期累計実績
金額(百万円) 進捗率 対前年比
売上 19,398 74.1% 12.6%
営利 2,032 99.2% 109.8%
経常 2,004 98.5% 105.9%
純利 1,358 98.3% 123.6%

 

◆四半期別業績推移

本年度はコロナ禍での追い風を受けて大きく業績を伸ばしており、既に第3四半期までで、利益面はほぼ100%達成しており、目標業績の達成はほぼ間違いない、20~30%程度の上振れも見込める状況と言えるでしょう。

売上も順調に伸ばしていますが、それ以上に大きいのが一般管理費の抑制です。

こちら第3四半期の決算短信の損益計算書ですが、売上が13%程度上がっていますが、販管費は殆ど変わっていないんですね。

例えば1作年前の2020年3月期のPLを見ると、下記の様に広告費の増加が著しく、売上は20%程度増加しながらも、販管費の大幅アップの影響で営利は前年比20%程度減となっています。

 

やはりこれを見るといかに費用対効果がいい広告宣伝を行うか、という点が非常に大きな肝になってくるようです。

実際に本年度の第2四半期決算説明資料内にはAIを活用した広告効率の向上に対する取り組みや、

AIを活用したレコメンド機能等の改良を行っているとコメントが書かれています。

 

今期大きく利益を伸ばしているのはこういったAIを活用した費用対効果の高い広告戦略や利便性Upの施策が打てているから、という可能性も高そうです。

まだ具体的な効果が定量化されたデータは見当たりませんが、実際にPLを見るには、売上の伸びに対して広告費の出費は大分抑えられていると考えられ、これまで若干不安定だった利益率が改善方向に向かえば、売上自体は市場全体の拡大に支えられ自然増していく可能性が高いでしょうから、収益も大きく伸びていくかもしれません。

まだ断言するのは少し早計かもしれませんので、本年度の本決算、来年度の見通し等を見て見込み通りであれば有望銘柄に再度返り咲く可能性もあります。

では他社との差別化も含めて今後どのような事業に注力していくのかも最後に見ていきます。

 

新規事業や将来展望

主に直近の第3四半期の決算短信や、第2四半期の決算説明資料から読み解きます。

中長期展望として売上目標が記載されています。今期の売上予想は260億円程度ですが、2024年には約500億円程度と、倍増する見込みを立てています。

確かに電子書籍市場が後数年で倍増する可能性はかなり高いと思いますし、そこまで無茶な計画ではないでしょう。

 

それに対し具体的な施策はどんなことを行っているのでしょうか?既存事業の効率化に関しては既にご説明しましたが、他には海外展開に力を入れていく事をかなり具体的に発表しています。

タテコミというカラーメインで縦読み式の漫画が海外ではニーズが高い様で、このジャンルの制作数を増やしていく、といった戦略の様です。

また海外専門の取次会社も2019年に設立しており、ここを拠点に今後も海外向け事業の拡大にリソースを割いていくようです。詳細はまた決算資料を見て頂ければと思いますが、アメリカと中国には海外子会社を設立しており、翻訳から配信を担っています。

 

国内の既存事業及び今後の海外展開のビジネスモデルを1枚のスライドでまとめるとこんな感じです。イメージし易いですね。

 

また、今後の投資戦略としても明確に売上シェアの拡大、新規事業への積極投資を掲げていますので収益面では伸び率が抑えられるかもしれませんが、(若しくは前年比マイナスもあり得るかと)売り上げ面が順調に拡大している状況であれば、そこまで悲観的になる事は無さそうです。

 

今後は海外事業も注力していくということなので、業績も発表も国内、海外で分けて発表するようにしてほしいですね。(海外売上比率がそれなりに大きくなればおそらくそうなるでしょう)

 

纏め・総論

個人的見解ですが総論としては下記の通りです。(あくまで見解であり、投資の有無を推奨するものではありません

財務安全性 完全無借金経営で、大きな固定資産も無いビジネスモデルなので基本的には安心化
配当利回り/配当性向 投資拡大期間でもあり、しばらくは期待できない
優位性 レンタルでの切り売り等は多少ユニークだが、現状他競合サービスと比較して突出した強みは見えない
業界全体の成長性 事情規模としては将来的に3~4倍まで拡大する可能性高い
会社の成長性

売上が順調に拡大しているので国内ビジネスはこのまま伸ばしつつ、海外事業でどの程度手ごたえをつかめるか次第か?

割安度

同業界の同業他社と比較しても若干割安な水準