【銘柄分析】(株)アルトナー【2021年1月期第3四半期 決算】

  • 2021年2月11日
  • 2021年2月14日
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コロナ禍で苦しんでいる印象が強い人材派遣業界ですが、そんな中でも底堅く業績を伸ばし、且つ技術系エンジニアの派遣に強みを持つアルトナーは面白そうだな、と思い分析してみました。

少し前ですが2020年12月10日に発表された第3四半期決算を元に紐解いていきます。

会社業態及びビジネスモデル

企業概要 技術者派遣会社、エンジニア派遣のパイオニア。設計・開発技術者(機械設計開発、電気・電子設計開発、ソフトウエア開発/制御・情報処理)の人材派遣(常用型)・請負受託のテクニカルアウトソーシング事業を営む。技術者派遣(常用型派遣・正社員雇用)、請負・受託(設計開発から設計技術周辺)、転職支援など。エンジニア集団として、輸送用機器・電気機器・精密機器(機械設計、電気・電子設計、ソフト開発)分野で自動車(エコカー)・先進安全自動車・スマートフォン・人工衛星等の開発で顧客企業をサポート。請負・受託(技術サービス)へのウェイトシフトを推進。主要取引先は本田技術研究所、ニコン。
取扱商品
・技術者派遣(自動車、機械/機器装置・機構・樹脂板金・解析、電気電子/電気機器・電子回路・半導体、制御ソフトウェア開発、情報処理ソフトウェア開発)
・請負・受託(設計開発業務)
・人材紹介(転職支援)
企業URL

https://www.artner.co.jp/

※マネックス証券/銘柄カウンターページより抜粋

アルトナーのビジネスモデルですがいたって単純と言えば単純で、技術者の人材派遣が94%程度を占めています。

事業セグメント別売上(2021年1月期/Q3決算説明資料より抜粋)

↓ビジネスモデル(アルトナーHPより抜粋)

 

人材派遣先の業種は機械、電気、ソフトウェア(制御ソフト、情報処理)向けがメインになっています。

 

更に具体的にそれぞれの分野を見ていくと、下記の様な用途、分野になります。(アルトナーHPより抜粋)

特にソフトウェアに関しては制御系、ソフトウェア向け開発、プログラミングといった時代の潮流に沿った分野への人材育成、派遣を強みとしており、今後伸びが期待できそうなエリアです。

では直近の業績から将来成長性まで見ていってみます。

 

株式基本指標

私が銘柄のスクリーニングを行う上で重要視している指標を並べてみます。

基本指標

2021/2/10時点の数値

指標

数値

市場

東証1部

上場年

2007年10月26

株価 883円
PER 14.1
PBR 3.21
ROE 24.22%
ROA 17.35%
EPS 113円
自己資本比率 71.8%
発行株式数 10.6(百万)株
配当利回り 2.55%
配当性向 35.5%
現金同等物 2,720(百万)円 / 2021年1月期第3四半期決算短信より
有利子負債 0(百万)円 / 2021年1月期第3四半期決算短信より
利益余剰金 2,563(百万)円 / 2021年1月期第3四半期決算短信より

有利子負債はゼロの完全無借金経営、人材派遣というビジネスモデルであることから思い固定資産も無く、キャッシュも非常に潤沢です。

決算書上の無形固形試算は55(百万円)程度で知財、特許、ライセンスなどを活かしたビジネスモデルを今後有り余るキャッシュを活用して展開していいけると非常に面白いのですが。。。

財務健全性には全く問題ないと言えそうです。

 

独自バリュエーションチェック指標

「1%の人が知っている99%勝てる株が見つかる本」を参考に行う将来のROEや配当利回りを参考にした手法です。これで購入銘柄を決めるわけでは無いのですが、参考にしています。

こちらの各指標を使ったバリューチェックの具体的方法はこちらで解説しているので、それぞれの指標を見ていく背景説明は省きます。(詳しくは別記事で解説しています。)

経年営業利益率
2021年1月期第3四半期単独 11%
2021年3月期第3四半期累計 12%

2021年2月期(予測)

12%
2020年2月期(実績) 13%
2019年2月期(実績) 12%
2018年2月期(実績) 12%
その他基本的指標 備考/目標基準
配当性向

35.5%

≧50%
増収歴(純利) ≧4年
中期経営目標 2023年までの目標
20年後もサービスが継続しているか? 〇/△/× で✖は投資NG
7年後の株価予想 4.6倍 ⑦の数字を市場平均利回り1.6%(2018年)で割る

長期的に見た株価上昇ポテンシャルは4.6倍程度とかなり大きな上昇率が見込めます。

業績も右肩上がりを継続していることもあり増配を続けており、配当目的での購入も魅力的水準と言えます。

 

株価と直近業績の関係性

 

経年の業績推移と株価の関係

↓マネックス証券/銘柄スカウターページから抜粋

↓ここ数年の株価の動きです。

 

ここ5年間では2018年6-7月頃に1,300円の高値をつけた後はずっと横ばい状態です。2018年の高値時は当時のEPSが50.8円(2019年1月期実績)でしたのでPERは約25倍でした。

その後も15%弱で安定して成長している事を考えると若干成長率の鈍化がみられるとはいえ、PER14倍のアルトナーはそれなりに割安に思えます。

再び将来性をきたさせるインパクトのある業績や将来展望を発表すれば再度PER20~25倍程度まで戻すポテンシャルはあると言えるかもしれません。仮に2021年1月期の予想EPS:63.7円を使って計算すると1,600円程度までの上昇ポテンシャルがあると言えます。

同業界、同業他社と比べるとどうでしょうか?

 

同業種内での割安度(PER)の比較

サービス業の各市場の平均PERを見てみます。

■サービス業 平均 PER情報 (参考情報)

※日本取引所グループ月次業界別平均PER(2021年1月)

東証1部平均 33.9
東証2部平均 27.9
マザーズ平均 67.4
JASDAQ平均 25.5

サービス業といってもかなり幅広いので同業他社のも見てみます。

会社名 PER
メイテック 23
フォーラムエンジ 21.4
エスユーエス 22.9
テクノプロH 24.5
アルプス技研 14.1
ジェイテック 1,379.5
WDBH 23.5
ヒップ
8.8

同業他社と比較してもPER14倍のアルトナーはかなり割安に見えます。ヒップだけは例外的にPERが低いですが業績が非常に不安定なのであまり参考にならなそうです。

 

直近の業績動向

では実際の2021年1月期第3四半期までの足元の業績はどうでしょうか?

直近決算 12/10 日発表の第3四半期累計実績
金額(百万円) 進捗率 対前年比
売上 5,395 68.9% 4.3%
営利 670 68.7% ▲4.1%
純利 477 70.5% ▲2.1%

 

直近のQ2-3では営利~純利までは昨年度比でのマイナスとなっており、コロナ禍で苦戦が読み取れます。

細かい内訳をみていくと機械・電気/電子向けの技術者派遣は苦戦しているも、制御ソフト、情報処理向けに関しては大きく伸びています。

自動車のCASE分野への投資・開発、コロナ下でのDX化の潮流に従い各主ソフトウェア開発の需要というのは高まっており、この分野での技術者派遣のニーズはまだまだ期待できそうです。

 

また全体の技術者数としては増加にあることで 稼働人員数は前年同期を上回るようですが、稼働率は落ち込んでおり、2020年4月入社の新卒技術者の配属の遅れに伴う売上高成長率の鈍化もあり、新卒技術者の労務費を吸収することができず、減益となっているようです。

機械・電気/電子の分野ではこの苦戦傾向は暫く続くかと思いますが制御ソフトと・情報処理の分野でどの程度カバーしていけるか、という点が今後の注目ポイントかと思います。実際に昨年度の比較すると売上構成比は

機械・電気/電子分野 : 65.6%⇒61.3%

制御ソフト・情報処理  : 34.4%⇒38.7%

と4~5%程度変わっていますので、今後も需要が伸びていく可能性が高い制御ソフト・情報処理が2~3年程度で半分を占めるまでになる可能性はありそうです。

 

新規事業や将来展望

主に2021年1月期第3四半期決算説明資料中期経営計画資料から読み解きます。

現時点では2023年1月期(つまり2年後)までの中期計画を発表しています。

2023年1月期の目標としては

売上: 100億円  営業利益:12.5億円 (12.5%)

という具体的計数目標を掲げており、今期見通しが売上78億円、営利約10億円ですので、ここまで年率約10%程度のペースで成長してきている事を考えるとある程度現実的目標にも見えますが、コロナ禍で売上成長率鈍化の兆候も見られることから、来年度以降どの程度業績を軌道に乗せられるのかまだまだ不透明な面も多いです。

将来への見通し、戦略としても正直特に目新しい施策は打ち出されておらず、成長産業である制御ソフト・情報処理分野への技術者派遣数を増やすべく、この分野の人材の獲得・育成を進め、契約単価向上、といった既存ビジネスモデルの強化を進めていく事になるかと思われます。

 

纏め・総論

個人的見解ですが総論としては下記の通りです。(あくまで見解であり、投資の有無を推奨するものではありません

財務安全性 問題無し
配当利回り/配当性向 増配傾向にあり、配当目的でもある程度魅力的水準
優位性 特別な技術・強みを有しているわけでは無いのでいかに優秀な人材を獲得し続けられるかがポイント
業界全体の成長性 ソフトウェア系のエンジニア派遣は今後も大きな伸びが予想される
会社の成長性

特別強いビジネスモデルは有していないので、市場全体の成長性や景気動向に依存してしまう可能性高い

割安度

同業他社との比較、財務助教、配当状況から見るとある程度割安な水準か、欲を言えばPER10~12倍程度まで下がるとかなり魅力高まる。