【銘柄分析】(株)総医研ホールディングス【2021年6月期 第2四半期決算】

  • 2021年3月23日
  • 2021年3月28日
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本ページでは(株)総医研ホールディングスの決算資料などを元に株式投資銘柄としての現状の価値、将来性等を分析していきます。あくまで個人的な分析になるので参考にするもしないも皆様次第です。

最新の決算は2021年2月10日発表の2021年6月期第2四半期決算になります。

会社業態及びビジネスモデル

企業概要 大阪大学医学部発のバイオベンチャー。生体評価システム(評価試験、バイオマーカー開発、医薬臨床研究支援)、ヘルスケアサポート、化粧品・健康補助食品・機能性素材開発の各事業を営む。総合医科学研究所を中核にバイオマーカー技術に基づく食品・医薬品等の臨床評価試験の受託業務、医薬臨床研究支援業務の生体評価システムが中心。その他、健康保険組合の健康管理業務サポート、食品等のマーケティング支援、化粧品(機能性化粧品)や健康補助食品の開発・販売、機能性素材開発(機能性素材「ラクトフェリン」)。疲労プロジェクトの推進(産官学連携プロジェクト)、新規素材の開発に注力。2014年化粧品の専門商社トランスアジア、2015年中国の化粧品会社ビューティープラス社と資本・業務提携。2017年機能性素材(ラクトフェリン)開発のNRLファーマを買収。2019年中国の流通企業Golong社と化粧品・健康補助食品販売で業務提携。主要取引先はトレンドリンクス。
取扱商品
・評価試験・バイオマーカー開発(食品等の臨床評価試験受託、バイオマーカー技術供与・開発)
・医薬臨床研究支援(臨床試験・調査・研究支援サービス、 市場調査支援サービス、エビデンス啓発支援サービス)
・ヘルスケアサポート(特定保健指導の業務受託、受診勧奨サポート、糖尿病重症化予防サービス)
・機能性素材開発(多機能性タンパク質「ラクトフェリン」、サプリメント、医薬品開発)、健康補助食品(抗疲労ドリンク「イミダペプチド」)
・化粧品(水溶性プラセンタエキス原液、独自商品ブランド「肌元気ライン」「うるおい・ふっくらライン」)
・マーケティング(健康補助食品等のマーケティングリサーチ、健康補助食品等の市販後調査)
企業URL

※マネックス証券/銘柄カウンターページより抜粋

大学発のバイオベンチャーという事で本来ではあまり気軽に手を出すべきでない種類の銘柄ではありますが、2016年以降しっかりと利益も出しており成長率もかなり目を見張るものがありましたので分析してみようと興味を持ちました。

 

まず事業の大枠ですが、2020年6月期の本決算資料から見ると、売上構成はざっくり下記の通りですね。

売上の屋台骨となっているのは健康補助食品と化粧品事業の2つです。バイオベンチャーとしての特色が強い評価試験・バイオマーカー開発に関しては10年前と比べると大分縮小しておりますが、こうした基礎技術を応用して上手く稼げるビジネスモデルを作れているのであれば民間企業としては非常に魅力的に見えます。

また営業利益ベースで見ても化粧品事業が突出して高いです。更に面白いのは2020年6月期は他の事業は殆ど横ばいかマイナスとなってる中で唯一、化粧品事業は圧倒的な伸び率を見せている事です。一般的には外出機会が激減したりインバウンド需要が消滅した2020年4~6月ではかなり化粧品関係は苦戦していた認識なのでどのような背景があるのか気になるところです。その辺はまた後程細かく見ていきたいと思います。

総医研ホールディングスは複数の事業会社から構成されており、上記の事業もそれぞれの子会社で運営されています。

ちなみに下記の文章はHP内の社長メッセージの抜粋になりますが、元々の基礎技術を活用して食品や化粧品といった領域に見事に事業展開しており、特に「エビデンス」、つまり科学的根拠をベースに製品開発を行っているという点からここはかなり大きな市場優位性があると言えるかもしれません。

大阪大学医学部発のバイオベンチャーとして発足し、研究テーマであるバイオマーカー技術を主に食品等の臨床評価試験に活用して事業を行い、多くの特定保健用食品(トクホ)の許可取得にも貢献してまいりました。また、バイオマーカー技術に基づく「エビデンス」をキーワードとして、エビデンスに基づく食品等のマーケティング支援、医薬品の臨床研究の支援、化粧品や健康補助食品の開発および販売、特定保健指導の受託をはじめとする健保組合が行う様々な取り組みの支援等にビジネスモデルを拡張してまいりました

ちなみにバイオマーカーとは、体や病気の状態を客観的かつ定量的に評価するための指標として使用され、株式会社総合医科学研究所では多くの被験者から取得したデータでの生体評価システムを構築しています。

このデータを利用して食品、化粧品、医薬品といった分野向けに進出しておりB to C向けの製品だけでなく、B to B向けのロイヤリティ収益やマーケティング支援といったサービス型のビジネスも有しているとのことでそこは面白いですね。

株式基本指標

私が銘柄のスクリーニングを行う上で重要視している指標を並べてみます。

基本指標

2021/3/19時点の数値

指標

数値

市場

東証マザーズ

上場年

2003年12月18

株価 579円
PER(予) 16.8
PBR(予) 2.58
ROE 13.79%
ROA 10.68%
EPS

34.4

自己資本比率 75.7%
発行株式数 26.2(百万)株
配当利回り 0.86%
配当性向 17.9%
現金同等物 4,003(百万)円 / 2021年6月期 第2四半期決算
有利子負債 0(百万)円 / 2021年6月期 第2四半期決算
利益余剰金 2,130(百万)円 / 2021年6月期 第2四半期決算

有利子負債はゼロでBS上の負債合計を現金が上回っているくらいですので財務上は全く問題なさそうです。

 

ただ少し気になるのは投資CFがここ数年間でプラスの年があります、これだけ高い成長性を維持しているにしては珍しい傾向かなとは思いましたが、2020年度に関しては投資有価証券の関連の売却や償還などが理由の様です。

 

独自バリュエーションチェック指標

「1%の人が知っている99%勝てる株が見つかる本」を参考に行う将来のROEや配当利回りを参考にした手法です。これで購入銘柄を決めるわけでは無いのですが、参考にしています。

こちらの各指標を使ったバリューチェックの具体的方法はこちらで解説しているので、それぞれの指標を見ていく背景説明は省きます。(詳しくは別記事で解説しています。)

経年営業利益率

2021年6月期予想

13%
2020年6月期 11%
2019年度6月期 11%
2018年度6月期 6%
2017年度6月期 6%
その他基本的指標 備考/目標基準
配当性向

17.9%

≧50%
増収歴(純利) ≧4年
中期経営目標 × 中計目標は見つからず
20年後もサービスが継続しているか? 〇/△/× で✖は投資NG
7年後の株価予想 2.6倍 ⑦の数字を市場平均利回り1.6%(2018年)で割る

こちらのバリュエーションチェックの手法を用いた場合、長期的(5~7年)に見た株価上昇ポテンシャルは2.6倍程度となっています。

利益率が2019年度からかなり改善されており、2021年度(予想)も更に改善が見られます。実際に2021年第2四半期までの実績では11%となっているので少しビハインドしています。

 

株価と直近業績の関係性

経年の業績推移と株価の関係

↓マネックス証券/銘柄スカウターページから抜粋

↓ここ数年の株価の動きです。

足元の株価水準は2018年初期と殆ど変わりません、その頃と比較すると売上は2倍近く、利益は3~4倍になっているのですが2018年の株価ピークは879円で、EPSはまだわずかに7.5円でした当時のPERは115倍程度と少し先行期待で買われすぎていた側面はかなり強いですね。

2020年末ごろもかなり急騰しPER30倍程度までいきましたがすぐ急落してしまってます。

ただ足元は業績面では堅調に成長しており、PERも16~17倍程度と、この3-4年の間で売上、利益共に20~30%のペースで成長している企業としては大分低くなっているようにも思えます。

↓足元の業績も堅調で大きな停滞があるようにも見えません。

直近決算 2/10 日発表の2021年6月期第2四半期決算
金額(百万円) 進捗率 対前年比
売上 5,536 55.4% 17.8%
営利 619 47.6% 99.0%
経常 626 48.2% 68.4%
純利 388 43.1% 184.0%

こちら一見、営利~純利までの進捗率は50%を割っているので成長鈍化も懸念されますが、売上の性質上、Q1(7~9月)は最も売上や利益が低く、クリスマス商戦の入るQ2(10~12月)が高くなり、Q3~Q4もそのまま高い数字を維持する、という傾向なので今後Q3-4でこの辺の数字は十分に巻き返してくると思われます。(下記の四半期別業績の推移を見てみればこの傾向がよくわかります)

むしろ2021年度のQ1は過去は黒字化していますね。(過去はQ1はすべて赤字)

足元の細かい業績分析はまた後程見てみますが、同業他社との割安度比較はどうでしょうか?

同業種内での割安度(PER)の比較

一応会社の括りとしてはバイオベンチャーなのですが、売上構成から見ると主力事業はほぼ健康補助食品事業と化粧品事業でこの2つでほぼ売上の8割を占めています。特に化粧品事業は全体の半分程度を占める主力事業ですので主に化粧品業界の企業と比較してみます。

会社名 業態 PER
フォーシーズホールディングス 化粧品通信販売のフェヴリナを中核とする持株会社 27.3
ハーバー研究所 無添加化粧品メーカー。自然派化粧品 69.8
アイビー化粧品 訪問販売の化粧品メーカー。 30.7
コタ プロユース向けの頭髪化粧品専門メーカー 33.8
アジュバンコスメジャパン サロン専売化粧品メーカー。理美容室・エステティックサロン・ネイルサロン・美容クリニック向けに特化したアジュバン化粧品 84.2
新日本製薬 ビューティー&ヘルス商品販売会社。 22.1
MTG 健康・美容ブランド商品開発会社。 65.3

ある程度規模が小さくて(時価総額が1,000億円以下)でニッチな領域に展開していると思われる化粧品や健康商品を扱う銘柄のPERを並べてみました。

化粧品会社と1口に言っても例えば資生堂やマンダム、コーセーなどは一般マス層向けに販売を行っているのでそもそも規模も販売戦略やコスト構造等も異なってくるのであえて含めていません。また赤字の会社も省いています。

上記見るとどこもそれなりに高い水準での評価を受けており総医研Hの16~17倍という水準はかなり安いのえはないでしょうか。成長実績(20~30%/年)からの考えてもPER25~30倍程度まで評価されても全くおかしくない様には感じます。

もしかすると市場はこの先これまでの様な成長は続かない、と考えている可能性もありますので足元の業績の裏付けと今後の成長性に関してももう少し詳しく分析してみます。

 

直近の業績動向

では直近の2021年6月期第2四半期決算の内容をもう少し掘り下げてみます。

◆四半期別業績推移

Q別の業績を見ていくと、まず売上に関しては2016年以降一貫して昨年比でUpしています。コロナもものともせず、これは中々立派な業績だと思います。

利益面に関しても基本的にQ1に赤字になってしまう構造(おそらく販管費等が上がる?)の様でしたが2021年度に関してはQ1も黒字化していますね。

直近決算 2/10 日発表の2021年6月期第2四半期決算
金額(百万円) 進捗率 対前年比
売上 5,536 55.4% 17.8%
営利 619 47.6% 99.0%
経常 626 48.2% 68.4%
純利 388 43.1% 184.0%

先ほども掲載していますが、2021年度第2四半期までの実績です。基本的にはQ3-4はQ1-2よりも業績が良くなる傾向が過去の推移からもはっきり見て取れますのでこの調子であれば業績予想は達成する可能性が高そうです。

2021年第2四半期までの好調な業績背景

まず売上ですが柱は健康補助食品と化粧品ですが昨年からの伸び率でみると圧倒的に化粧品が好調ですね。機能性素材開発の伸び率も著しいですが2018年比と比較すると微減くらいなので成長事業とは言い難いですし、化粧品は売上内で占める比率も高いので非常にインパクトがあります。

 

また営業利益ベース見ても化粧品事業のインパクトが非常に大きいです(下記表の赤線)。赤字事業も結構あるので実質は化粧品事業の一本足打法に近いです。機能性素材開発の方もそれなりに貢献していますが(下記表の緑線)、意外なのは売上では2番手につけている健康補助食品は営利ベースでは赤字だという事ですね。見て頂くと分かりますがこの事業は販管費がめちゃめちゃ高いです(下記表の黄色線)。競合も有象無象に多い分野なので、プロモーション活動は欠かせないと思いますので、利益が出づらい事業構造なのかもしれません。

(ちょっと見えづらいですが↓は各事業の営利になります)

 

ちなみに化粧品事業の好調の背景ですが中国向け販売の拡大の様です。

また更に商品内訳をみると「モイストクリームマスクPro.175g」という商品にほぼほぼ依存していますね。

また更に気になるのは販売チャネルが卸売り向け(つまり商社やディストリビューターでしょう)に完全に偏っています。通販がこのご時世で10年前より減っているというのは少々気になります。つまり自社で直通の販路をほぼ持っていないという事になります。

まぁ実際は中国ではECモールでの販売がメインでしょうから現地の提携会社からはEC通販での販売となっているのだとは思いますが。

中国依存+商品依存+販路依存という依存状態にあり、好調な内はいいですが何か異変が起きると非常にモロそうに見えてしまいます。

今はこの依存先が上手く回っているので好調な業績が出ていますが、これ以外の機能性素材開発事業や健康補助食品事業などがしっかり次なる柱に育たないと中々リスキーな構造ではあります。

機能性素材開発事業:ラクトフェリン、大腸送達アルギニン

健康補助食品の具体的取扱商品

 

大学発のバイオマーカー技術を活用して「エビデンス」をベースとした製品開発に生かしている点は安全性や効果・効能の観点などからも有効性が高いと思われ面白いかと感じました。

ただ細かく見ていくとそういった臨床試験等で得たデータを利用してのサービス型のビジネスモデルは(少なくとも収益としては)殆ど育っておらず、また製品販売面に関してもかなり外部への依存度が高く、自社での販売ノウハウの蓄積が上手くいっているのか?や未来への販売戦略があまり見えてこない、という点は非常に強く感じました。

いい意味でも悪い意味でも技術偏重型の大学ベンチャーの気質から抜け切れておらず、少しもったいないな、とも感じてしまいます。

有り余るキャッシュの使い道等も含めて将来像があまり見えてこないので中々株価が上がり辛くなってしまっている要因かもしれません。その辺が改善されてくると大きく評価が変わってくるのはないかな、とは思います。 

 

 

では参考にして頂けますと幸いです。Let’s 経済的自由人!!