【銘柄分析】アイ・エス・ビー【2020年12月期 本決算】

  • 2021年2月28日
  • 2021年3月3日
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本ページでは(株)アイ・エス・ビーの決算資料などを元に株式投資銘柄としての現状の価値、将来性等を分析していきます。あくまで個人的な分析になるので参考にするもしないもあなた次第です。

最新の決算は2021年2月15日発表の2020年12月期本決算になります。

会社業態及びビジネスモデル

企業概要 独立系の中堅ソフト開発会社。無線技術とモバイル技術を基盤にソフト受託開発(組込ソフト、業務系システム、モバイルシステム、金融・公共システム)、フィールドサービス(データセンター、インフラ構築)を展開。その他、プロダクト事業としてセキュリティ系、無線系、医療系製品を販売。モバイル・医療・車載等の組込みソフトウェア開発が主力。医療機器のデータ解析・無線技術分野等のソフト開発など受託開発以外の新領域(IoT・M2Mソリューションなど)取組み、プロダクト事業拡大による受託開発事業との二本柱化を推進。2019年センサーデバイス向け無線プロトコル「Wi-SUN」をロームと共同開発。主要取引先は日本電気通信システム、ソニー・モバイルコミュニケーションズ。
取扱商品
・組込み(車載システム、医療システム)、モバイルシステム(スマートデバイス開発、アプリ開発)
・業務システム(運行管理システム、販売管理システム)、金融(証券システム、銀行システム)、公共(自治体向け業務システム、官庁向け業務システム)
・フィールドサービス(サーバ ・インフラ構築、運用サービス、ハウジング)
・プロダクト/無線系(モバイルデバイス管理、センサーデバイス向け無線プロトコル「Wi-SUN」、公共機関向けBB 技術、M2M クラウドプラットフォーム)
・プロダクト/医療系「L-Share」、プロダクト/セキュリティシステム(出入管理システム、「MDM」管理システム)
・マルチプラットフォーム・アプリケーション開発キット「Qt」
企業URL https://www.isb.co.jp

※マネックス証券/銘柄カウンターページより抜粋

↓は分野別の売上高構成比のグラフです。

 

主力分野向けの詳細は下記の通りです。

組み込み系

主に車両システム向け及び医療システム向けです。車両システムは上流から下流まで幅広い分野でソフトウェア開発に携わっており、医療系やCT/MRI等の診断装置開発や診断画像管理システム開発などを行っています。

※車載ソフトウェアの開発実績

※医療システム向けシステム

モダリティ 超音波診断装置、CT装置、MRI診断装置、内視鏡ツール開発、前眼部OCT装置、心電モニタ、レントゲン(マンモ)
医療情報システム 電子カルテ、医療情報システム(DICOM通信技術/PACSサーバ開発/患者情報管理/画像管理機能制御)、読影レポートシステム、クラウド型診療支援システム、レセコン 等

業務系システム

主に企業向けなどに業務サポート系システムの開発、運用を行っています。Webシステム、デスクトップアプリ、クラウド環境の構築 等

業務系Webシステム 運送業向け基幹システム、運送業向け配車請求システム、製造工場向け工程・部品在庫管理システム開発、IT点呼システム、販売管理システム、ネットワーク事業者向け「回線工事管理システム」、アプリバージョン管理システム、小口精算システム
モバイル系Webシステム 訪問看護サービス、製品情報問合せアプリ開発(SNS)、業務用電話帳アプリ開発・管理システム開発
Webツール開発(研究開発) 数学Web教材支援ツール開発

フィールドサービス

インフラ全般の提案~保守までの工程を踏まえたトータルソリューションの提供。

ネットワーク/サーバ等のインフラ構築請負業務、サーバソフトウェア開発業務、データセンターハウジング、運用/開発業務、技術者派遣等インフラ業務に係る全般

プロダクト事業

IoTなどの無線、医療システム、モバイルデバイスセキュリティの製品提供を行う事業。

主力製品は医療向けシステム(L-Share)、スマートハウスなどに利用されるIOTシステム、クラウド型のMDM (モバイルデバイス管理)サービス、自社でのアプリ開発支援ツールであるQt・QNXといったサービスを提供。

 

お粉事業内容はこんなところがメインで、医療系分野に結構入り込んでいますね。

ではもう少し細かい内訳を見ていってみます。

 

株式基本指標

私が銘柄のスクリーニングを行う上で重要視している指標を並べてみます。

基本指標

2021/2/26時点の数値

指標

数値

市場

東証1部

上場年

1990年7月27

株価 1,186円
PER 12.6
PBR 1.54
ROE 12.87%
ROA 7.72%
EPS 94.4円
自己資本比率 64.8%
発行株式数 10.5(百万)株
配当利回り 2.45%
配当性向 33.5%
現金同等物 5,199(百万)円 / 2020年12月期 本決算短信
有利子負債 140(百万)円 /2020年12月期 本決算短信
利益余剰金 3,365(百万)円 / 2020年12月期 本決算短信

有利子負債は実質ほぼゼロで現金もタップリです。

負債額総計すらも現金が上回っていますので、超健全な財務状態と言えます。

 

独自バリュエーションチェック指標

「1%の人が知っている99%勝てる株が見つかる本」を参考に行う将来のROEや配当利回りを参考にした手法です。これで購入銘柄を決めるわけでは無いのですが、参考にしています。

こちらの各指標を使ったバリューチェックの具体的方法はこちらで解説しているので、それぞれの指標を見ていく背景説明は省きます。(詳しくは別記事で解説しています。)

経年営業利益率
2020年12月期 決算 7%

2019年度

5%
2018年度 5%
2017年度 5%
その他基本的指標 備考/目標基準
配当性向

33.5%

≧50%
増収歴(純利) ≧4年
中期経営目標 2023年までの計画有り(資料も)
20年後もサービスが継続しているか? 〇/△/× で✖は投資NG
7年後の株価予想 3.7倍 ⑦の数字を市場平均利回り1.6%(2018年)で割る

長期的(5~7年)に見た株価上昇ポテンシャルは3.7倍程度とかなり高くなっています。

ただ営業利益率はここ2年は上昇傾向とはいえ5~7%で、IT業界ではあまり高くないですね。

業務内容が単純な受託開発がメインだと思われ、多くのシステムインテグレーター(システムやソフトウェアの開発を行う企業)が存在する業界なのでどうしても利益率は低くなってしまう面はあります。ただ利益率が近年上昇してきた背景は少し分析してみる必要がありそうです。

 

株価と直近業績の関係性

経年の業績推移と株価の関係

↓マネックス証券/銘柄スカウターページから抜粋

↓ここ数年の株価の動きです。

 

業績は爆発的ではないものの、一貫して右肩上がりで成長しており、10年前んと比べると売上は2.6倍、利益面は3~4倍といったところでしょうか。

株価のピークは2020年12月末頃の1,518円で、2020年度のEPS87.7円でしたのでPERは17倍程度ですんのでそこまで割高なこともないですね。

コロナ禍で、DX化、IT化への需要増を受けて順調に上昇しているように見えましたが2021年に入ると下がり続け、2月15日に発表された本決算でも業績予想を16%も上回る過去最高の好決算を出しましたが、更に下落基調です。おそらく発表された2021年予想が7%程度の増収だったので、期待外れという事だったのでしょう。

ただこちらの会社は2018年以降は3年連続で業績の情報修正を期中に行っているので少し堅めに業績を発表する性格なのかもしれません。

※赤矢印は期中での業績上方修正、緑は下方修正

同業他社とも割安度(PER)を比較してみます。

 

同業種内での割安度(PER)の比較

家庭雑貨の代表的銘柄メーカーで比べてみました。

会社名 業態 PER
SI パッケージソフト商品開発会社。データベース開発支援 20.3
パシフィックS

システム開発会社、太平洋セメントの子会社。

18.2
アイビーシー

ネットワーク監視システム開発会社。システム情報管理

28.0
日本システム技術

独立系のシステム開発会社、通称JAST

27.1
東海ソフト

独立系のソフトウエア開発会社。組込み関連事業

14.2
東計電算

独立系の情報処理サービス会社。

13.7
インフォC

システム開発会社。

13.7
クレオ

独立系のソフト開発会社。ソリューションサービス

15.1

サイバーコム

システム開発会社、富士ソフトの子会社。

21.5
サイバーコム

システム開発会社、富士ソフトの子会社。

21.5

富士ソフト

独立系の大手システム開発グループ

18.5

KSK

独立系のシステム開発会社

10.6

やはりシステム開発会社は差別化がし辛い分野でもあるので中々株式市場全体で見ても評価が高まり辛く、情報・通信業(2021年1月の東証一部の平均PERは33倍程度)という業界全体から見ても全体的にPERは低めな水準になっています。

その中でもアイ・エス・ビーはPER12.6倍ですし、業績も安定して右肩上がりですのでもう少し評価されてもいいようにも感じます。同業他社の水準から見てもPER15~20倍くらいまでは修正されてもおかしくないですね。(つまり今の株価から1.3∼1.8倍くらいのポテンシャルはあるのでは、、、)

もう少し足元の業績の詳細も見てみましょう。

 

直近の業績動向

では実際の2020年12月期本決算の内容をもう少し掘り下げてみます。

直近決算 2/15 日発表の2020年12月度本決算
金額(百万円) 進捗率 対前年比
売上 24,434 99.2% 8.5%
営利 1,644 107.2% 37.7%
経常 1,712 108.3% 29.5%
純利 994 116.8% 57.0%

 

◆四半期別業績推移

売上の伸び率と比べて営業利益以下の伸び率が非常に大きくなっています。

決算資料を見ても殆どこの要因に関しては記載はなく、特定事業の利益率の向上や販売費・管理費の圧縮といった程度の説明です。(↓2020年12月期本決算の決算短信)

※ニアショア・オフショア開発というのはシステム開発を海外や国内の地方へ委託することで、人件費などのコスト削減を実現する手法です。

確かに損益計算書の販売費・一般管理費を見てみると売上高が8.5%上昇しているに対して、

販売費・一般管理費:+5.5%

と圧縮できており、売り上げ増+こうしたコスト削減の効果で大きく営利以下の数字を伸ばしているようです。おそらく2021年以降もこの傾向は継続するかと思われ、実際に2021年12月期の予想利益も7%程度(2020年度相当となっています)。経年で見ると2020年から2%も改善されてのが分かります。

経年営業利益率
2021年12月期 予想 7%
2020年12月期 決算 7%

2019年度

5%

2018年度 5%
2017年度 5%

売上増加+利益率up+コスト圧縮という構図が上手く成り立っているわけですね。

↓肝心の売上の方の分野別の推移を見てみます。

2020年度は2019年度比で携帯端末を除きすべての分野で増収となっています。

特に業務システムは30%程度の伸び率となっており、元々母数としても大きい主力事業であったこともあり、大きく貢献しています。コロナ禍で各社DX化/IT化による業務効率改善、生産性向上を躍起になって進めようとしていますし、2021年度もその流れは大きくは変わらないでしょう。実際に2021年度も業務システムは25%程度の伸び率予想となっています。

自動車や医療向けがメインと思われる「組込み」が若干ながら減収予想となっているのが少し意外ですが、その他は概ね増収予想となっています。

2021年度は2020年度比7%程度の増収総益予想ですので、ここまでの4半期毎の業績推移を見ている限りは数年ペースで右肩上がりですし、かなり達成の可能性は高そうですが、まずは2021年度第1四半期の決算発表を待ちたいと思います。

 

新規事業や将来展望

主に直近の2020年12月期本決算資料から読み解きます。こちらの資料内には当期決算の内容よりも先に新中期経営計画が発表されています。

計数目標としては2021年度の予想から比較すると売上高で約15%アップ、営利では35%アップ程度ですので売上の方はそこまでハードル高く無さそうですが、営利に関しては現状の営利率の7%弱から更に1%程度のアップが必要であり、簡単な目標では無さそうです。

 

正直アイ・エス・ビーは競合他社と比較しても会社独自の明確な強みや優位性が現状は明確には見えてこないので、あくまでIT投資・DX化推進という今後日本企業がどこも力を入れねばならない状況かでの市場全体の拡大の流れに乗ってある程度の成長は見込めるでしょう。

ただ利益率のアップ=参入障壁の高いビジネスモデル・サービスの構築、となると一朝一夕に生み出せるものではないですし、現状の中期経営計画資料からはその種となりそうな事業や方向性は残念ながら見いだせませんでした。

↓こういった市場全体のニーズ拡大が見込める分野に既にある程度入りこめているのでその恩恵を受けられる可能性は高いですが、それ以外には具体性のある施策は見えてきません。

 

そうなると営率向上に手っ取り早いのは2020年から明確に効果が見えているニアショア、オフショア開発の更なる推進、といったところでしょうか。コストダウンには限界がありますが、後1%程度であれば改善の余地はあるかもしれませんし、売上高自体は市場全体の流れに乗って10~20%/年程度拡大していってもそこまで不思議ではありません。

実際に過去5年程度で売り上げはほぼ倍増していますので年平均で20%前後で成長してきています。

 

アイ・エス・ビーが市場からの評価を高め、更に次のステージに進むには既存ビジネスの拡大一辺倒では難しいかもしれませんね。

実際に上場からも30年以上経っており東証一部にも上場済みで業績もある程度安定して成長しているとなるとそこまで野心的な目標を持つ必要もないのかもしれませんが、株主としてはキャッシュも有り余るくらいにありますし、少し勝負をしてみてほしいな、とも感じてしまうかもしれませんね。

 

纏め・総論

個人的見解ですが総論としては下記の通りです。(あくまで見解であり、投資の有無を推奨するものではありません

財務安全性 現金がBSの負債合計すらも上回っており、全く問題ない状態、むしろため込みすぎているのでは?という印象すらある、具体的投資に振り向けないのであれば増配や自社株買い等を行っても?
配当利回り/配当性向 基本的には30%程度の配当性向から大きく増配する意思は現状見られず。ただ利回りは2%台半ばで悪くはない
業界全体の成長性 今後市場の拡大が見込まれる分野に食い込めている事もあり市場拡大の流れには乗れる可能性が高い
会社の優位性/成長性(見込み含む)

現状特徴のある強みや優位性は見当たらないので、大幅な利益率アップ等は見込みづらく、あくまで市場の拡大の波に乗る事が必須か

割安度

業績だけ見れば不思議なくらい割安ではあるが、特徴の無さが良い意味でも悪い意味でも注目度を下げている。配当利回りが2%台後半~3%近くになれば配当目当ての安定銘柄として購入するのは悪くないかも(何かサプライズが出ればPER20倍/現状株価の1.5倍程度まで高騰する可能性も見込める)