【銘柄分析】クシム【2020年10月期 本決算】

  • 2021年2月22日
  • 2021年2月25日
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(株)クシムですが旧アイスタディ株式会社という社名で2019年にCAICAという会社の連結子会社となり社名もクシムに変更しています。

※CAICAはフィンテック分野における暗号資産の基幹技術であるブロックチェーン関連のシステム開発をメイン事業として行っている会社

E-ラーニング等のサービスを提供し、直近の4四半期の業績をコロナ禍で大きく伸ばしている事に注目し、少し分析してみようと思います。

最新の決算は2020年12月14日発表の2020年10月期本決算になります。

会社業態及びビジネスモデル

企業概要 HRTechサービス会社、(旧)アイスタディ。Eラーニング(法人向け学習管理システム、ビジネスビデオ、研修講座)、アカデミー(職業紹介、技術者派遣)、インキュベーション(受託開発、投融資)の各事業。E-Learning学習ソフトウェア「iStudy LMS」「SLAP」のライセンス販売、人材育成サポートの学習管理システムの提供、認定研修(日本オラクル・日本IBM)と映像配信サービス。暗号資産を対象にAPI連携による自動トレーディングシステムの開発、eラーニングコンテンツにおけるAI&ブロックチェーンのコース体系に注力。2015年ブイキューブ<3681>と資本業務提携。2016年システム・テクノロジー・アイから商号変更、インド教育プラットフォームのフリップラーン社と業務提携。2017年ネクスG<6634>と業務提携(フィスコ仮想通貨取引所と業務提携)、企業向け動画配信サービスを開始、カイカ(現CAICA)<2315>と資本業務提携(2019年CAICAの子会社、2020年持分法適用会社となる)。2019年システム開発のエイム・ソフトを子会社化。2020年アイスタディから商号変更、イーフロンティア(3D・AIソフト開発)を子会社化。主要取引先はブイキューブ。
取扱商品
・Eラーニング(システム「SLAP」、法人向け学習管理システム「iStudy LMS」、e-コンテンツ、専用スタジオ「STUDIO」、動画配信「millvi」
・アカデミー(有料職業紹介サービス「iStudy ACADEMY」、高度IT人材育成、システムエンジニアリング、セキュリティコンサル、IT講師派遣、フリーランスマッチング)
・インキュベーション(バーチャル株主総会支援業務、受託研究、システム受託開発、コンサルティング、投融資&インキュベーション)
企業URL https://www.istudy.co.jp/

※マネックス証券/銘柄カウンターページより抜粋

事業単位としてはeラーニング、アカデミー、インキュベーションの3つ、それぞれの事業を複数の事業会社として運営しています。

EBITDA(税引前利益に支払利息、減価償却費を加えて算出される利益)の各事業の内訳は下記の通りでeラーニング事業が主力です。

ちなみに2020年10月期決算の事業別の売上・利益構成は下記の通りです。

各事業の具体的サービスをもう少し詳しく見てみます。

Eラーニング事業

法人向け学習管理システムの「SLAP」と「i Study LMS」が主力サービスの様です。どんなサービスかというと、HP内の説明によると

SLAP(スラップ)とは?
「SLAP」「Smart Learning Accelerator Platform」の各単語の頭文字を取った造語であり、「いつでもどこでも学べるよろこび」をサービスコンセプトとしたeラーニングシステム。一般的なpower point、Excelで作成したeラーニングコンテンツをUPして受講できるだけでなく、テストでの採点機能や受講者の管理、運営が可能なプラットフォームです。またCreatorNEO(有償)を使えば音声で受講内容を読み上げる機能追加も可能。
講座内容のカテゴリとしてはエンジニアリング、先端技術、ビジネス全般向け等、パッケージ型で購入し社員に受講させるという、人事部研修等で使用される内容ですね。
 

iStudy LMSとは?

フルスペックLMS。 eラーニング、研修管理、学習管理、コンテンツ管理、集合研修マネジメント、スキル管理等の豊富な機能搭載。 社員のスキル・資格取得状況を一目で把握。 個人の学習進捗状況を捉えた、的確な研修プランの立案を可能に

オリジナル教材の作成も可能で、Power Pointでスライドを作った後自動的にアンケート機能、テスト問題の挿入、画像・アニメーション・ビデオ等も組み入れる事が可能、とのこと。millviという動画配信システムも提供しており、動画撮影用のスタジオも持っています。
パッケージ型やオリジナル型等の様々なコンテンツを各社に合わせて作成・提供可能になり、その管理やフィードバック等も受けられるサービスといったところです。基本はリモートベースでの提供なので今後の時代に沿ったビジネスモデル言えそうです。
 

アカデミー事業

企業の高度IT技術者採用支援、研修業務の受託代行行う有料職業紹介サービス、エンジニア育成プログラムの提供から人材派遣や、エンジニア向け講師の派遣サービスなどを行っています。

 

インキュベーション事業

ソフトウェアの受託開発、バーチャル株主総会支援システムの提供、コンサルティング業務、投資事業等を行っています。

 

では業績の中身をもう少し分析していきたいと思います。

 

株式基本指標

私が銘柄のスクリーニングを行う上で重要視している指標を並べてみます。

基本指標

2021/2/19時点の数値

指標

数値

市場

東証2部

上場年

1997年6月12

株価 773円
PER 19.7
PBR 2.0
ROE 10.68%
ROA 7.27%
EPS 38.7円
自己資本比率 64.5%
発行株式数 3.98(百万)株
配当利回り 0.69%
配当性向 18%
現金同等物 552(百万)円 / 2020年10月期本決算 決算短信
有利子負債 416(百万)円 /2020年10月期本決算 決算短信
利益余剰金 127(百万)円 / 2020年10月期本決算 決算短信

財務状態は現金が有利子負債を上回っており、自己資本比率も65%程度と健全ですので、問題なさそうです。

ただこちらの会社は複数の事業会社のホールディングス会社の様な様式に近く、頻繁に買収・出資や出資比率引き上げによる連結子会社化を行っている様で、財務状態が急変するリスクもありそうなので、少し注意して見ていく必要はあるかもしれません。

PERは20倍ですが、2020年10月度は負ののれん益を計上して純利益が1.3億円程度かさましされています。その要因を抜くとEPSは何と6円程度、、、そうなるとPERは120~130倍と一気に割高に変貌します

意図的に利益を低く抑えているのかイマイチ収益構造がよくわからないですが、、、

 

株価と直近業績の関係性

経年の業績推移と株価の関係

↓マネックス証券/銘柄スカウターページから抜粋

↓2000年以降の株価の動きです。

 

上場は1997年と意外に古いですが、リーマンショック後は暫くずっと赤字が続いています。その間株価も低迷が続いていますが、2016年と2019年に決算時期を変更していますね。

2019年の決算時期変更の理由はCAICAの連結子会社になる事による変更とのこと。

 

決算期が変更されているので2019年の業績との単純比較がし辛いのですが、売上はコロナ禍で伸びている様に見えますが営業利益が以上に低いです。

投資拡大による減価償却から営利が押し下げられているのかと思いましたが、減価償却費の比率ってそんなに高くないのですよね。

あとは買収や連結子会社化などによるのれん償却が入っていますが、合計しても65(百万円)程度、その他の138(百万円)というのがかなり大きいのですがこれは何なのか決算資料内からは読み取れませんでした。

 

また営利に対して純利益が大きく押し上げられている要因としては、負ののれん益が計上されているからで、本年度限りの一過性の利益だと思われます。

こうした決算数字を見ると買収や決算期の変更等の影響で非常に実態が分かり辛く来年度以降の業績が非常に読みづらいです、実際に2021年度10月期の業績見通しの発表は見送られています。

中期経営計画には売上目標2,368(百万)と営利目標526(百万)との記載はありますが、今期の数字からここに到達できるとは到底思えませんね。。。

↓は4半期毎の業績推移です。コロナ後には増収が続いていますが、利益が不安定でその要因がイマイチ読み取れずもう少し経過観察が必要かもしれません。

 

同業種内での割安度(PER)の比較

あまり近い業態のビジネスモデルを持つ企業は多く無さそうなのですが、あえて近いのは下記の辺りでしょうか。

会社名 業態 PER
日本エス・エイチ・エル 企業向けに人材アセスメントサービス(人事部門業務を支援する適性テスト・性格検査・能力テスト等)を提供 15.6
Branding Engineer 「テクノロジーxHR」をテーマに、企業向けにITエンジニア派遣による人材不足を解決するソリューション、ITエンジニア向け情報発信等のサービス提供 156.1
KIYOラーニング

クラウド教育サービス会社。「学びやすく、分かりやすく、続けやすい」をキャットフレーズに個人向けのオンライン資格講座「スタディング」、企業向けの社員教育クラウドサービス「エアコース」を提供

90.5

一番ビジネスモデルが近そうなのは実際に企業向けにオンライン講座等を行っているKIYOラーニングでしょうか。こちらの会社はまだ上場したてで、2020年12月期に初めて黒字化した事もあり、かなり成長期待度が高そうです。

また他にも企業の研修向けEラーニングのサービスを行っている会社は幾つかあるのですが上場企業がはほぼ無いですね、やはり比較的新しいビジネスモデルだから、というのはあると思います。

(参考記事:社員研修向けeラーニングの比較12選。)

クシムは上場から日が経っているのはありますが、買収や資本提携をかなり頻繁に行ってきており事業内容がかなり変わってきています。企業向け研修やエンジニア向け資格取得講座の提供といった大本は大きく変わっていないのかもしれませんが、EラーニングシステムのSlapは2019年にリリースされていながらも主力事業に育っているようですし、コロナ禍を追い風に今後更に伸びていく可能性は高いかもしれません。

 

直近の業績動向

では実際の2020年10月期本決算の内容をもう少し掘り下げてみます。

直近決算 1/29 日発表の第3四半期累計実績
金額(百万円) 当初予想比 対前年比
売上 1,859 99%
営利 34 24%
経常 40 27%
純利 154 74%

※対前年比は決算時期の変更の為記載無し

◆四半期別業績推移

売上は順調に伸びているのですが利益が全くついてきていません、純利益は負ののれん益の計上で一時的に嵩上げされているので多少マシに見えますが営利が大きく計画比割れになっている説明に関しては下記のスライドがありましたが、とてもこの110(百万円)のGapが発生している要因には見えないのですよね。

 

既に紹介の通りSES事業(ソフトウェア受託サービスだと思われます)はある程度の利益を残しているとはいえメインはEラーニング事業ですし、

Eラーニング事業に関しては決算短信内には

~~~~~~中略~~~~~~~

売上もセグメント利益も昨年比でプラスにはなっています。(売上が30%程度伸びているのに対して、利益は5-6%程度しか伸びていないのが気になりますが、、、)

Eラーニング事業の伸びがもっと目覚ましい結果になるのだと予想していたのかもしれませんが、コロナでどちらかというとE-ラニング事業は追い風を受けた可能性が高そうですし、これ以上の伸び率は難しいのかもしれません。

最初のスライドでは不振理由にE-ラーニング事業の伸び悩みと書かれていたり、片や上記スライドの様に売上は大きく伸長、と書かれていたり都合のいい数字を強調してポジショントークしている感がどうも否めない印象です。

また期中に買収や連結対象に入った会社の業績がプラスされていたり、管理費が不透明な面が多すぎて実態の収益力が正直よくわかりません。

↓2020年度は管理費で最も比率が高く大きく利益を押し下げている「その他」のコストとは??

 

とまぁ少し批判めいた書き方をしてしまいましたが、事業内容自体は面白いと思いますし、次々と提携や買収を行うこと自体は一気にビジネスモデルを時代の流れに合わせて急成長するポテンシャルも持っている事かと思います。売上も直近の2020年1月以降の4半期単独毎の数字も大きく昨年を上回り、過去最最高水準で推移しています。

この傾向が上手く継続し、コスト構造がはっきりしていき、十分な将来業績への目途が立てば一気に評価が高まり、KIYOラーニングの様にPERが60倍といった高水準まで高まる可能性も十分あり得るとは思いますのでもう少し様子を見てみたいと思います。

 

新規事業や将来展望

2021年10月期の正式な決算予想はコロナの影響を加味して発表が見送られています。

ただ2年ほど前に作成された中長期経営計画の目標としては下記の様な数字が掲げられています。

売上目標はともかく、利益目標はどうなのでしょうか、、、

ただ今は若干不透明な収益構造ですが、E-ラーニング事業に関しては仮に今の売上レベルがブレイクイーブンポイントなのであれば、今後売上の伸長と共に加速度的に利益が積みあがっていく収益モデルである可能性もあります。

このEラーニングのビジネスは1対Nの構造を取れる(つまり1度サービスをラウンチ後は顧客数が幾ら増えていっても、コストが殆ど変わらないので、損益分岐点を超えてからは大きく利益が伸長する)と考えられ、利益の伸びが急激になる傾向がありますので、次回の2021年10月決算がどうなっているのか楽しみではあります。

 

また今後も資金調達からM&Aの積極展開、との展望も明確に掲げていますので、既存事業を伸ばしつつ、はまる事業を発掘出来れば、大きく業績を伸ばす可能性も見込めるかもしれません。(勿論あくまで可能性の話で逆の可能性も然りです)

 

纏め・総論

個人的見解ですが総論としては下記の通りです。(あくまで見解であり、投資の有無を推奨するものではありません

財務安全性 足元は問題無いが、積極的な資本提携、買収を行っているので減損リスク等は要注視。
配当利回り/配当性向 会社としては投資段階にあると思われ当分配当は期待できない
優位性 企業研修向けEラーニング事業を行っている会社自体は多くあるが上場企業では少なく、
業界全体の成長性 コロナ禍の影響もありオンラインでのEラーニングへの需要は引き続き高まると思われる
会社の成長性

M&Aや業務提携に積極的で時代に合ったビジネスモデルへの柔軟な対応は期待できるが、様々な要因が絡んで収益構造が非常に見えづらい。真の収益性や成長性が非常に読みづらい。

割安度

特別益を考慮しなければは100倍越えで超割高な状態、2021年度の純利益予想がどうなるか、、、