【銘柄分析】トランコム(株)【2021年3月期第3四半期 決算】

  • 2021年2月18日
  • 2021年2月19日
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一見注目度の低い物流業界ですが、トランコムは業績も順調に伸びているようで物流マッチングという物流×ITという面白いサービスも展開していることもあり、少し詳細調べてみました。

直近の決算は2月1日発表の第3四半期です。

会社業態及びビジネスモデル

企業概要 名古屋地盤の物流サービス会社。顧客企業の物流業務全般の一括請負(物流センター内の入出荷管理から配送ネットワークまで)、貨物の輸配送業務・物流センターの運営、空車情報と貨物情報のマッチング業務。情報センター全国32拠点のネットワークで、ロジスティクスマネジメント(物流の一括受託業務、物流センター運営)、物流情報サービス(空車・貨物情報のマッチング)、インダストリアルサポート(生産請負・人材派遣)を提供。物流センターの受託、全国1万3千社の車輌運行情報を集約した車輌マッチングシステム「とらなびネット」(業界トップ)に特色。パレット回収スキームの事業化「Re_solnetサービス」を推進。2016年三井物産とトラックリースの合弁会社設立。2018年丸和運輸機関と資本業務提携。2019年ダイセキ環境ソリューション<1712>と産廃や金属スクラップの収集運搬マッチング事業を開始、日野自動車<7205>と資本業務提携。2020年宅配型トランクルームサービスのエアトランクと資本業務提携。主要取引先はユニ・チャームグループ。
取扱商品
・ロジスティクスマネジメント(一括受託業務、貨物配送業務、物流センター運営業務、サプライチェーン最適化)
・物流センター構築運営(庫内運営/入荷・検品・保管・ピッキング・仕分け・流通加工、出荷・検品、レイアウト設計、在庫管理、輸配送設計・管理)
・輸送マッチング・配送(求貨求車マッチングサービス「とらなび」、トラック車両リースサービス、ドライバー求人情報サイト)
・貨物運送サービス(共同配送、個人宅配、時間制輸送、一般輸送、チャーター輸送、中ロット輸送)
・生産請負・人材派遣サービス(製造請負、管理業務請負、人材派遣)
企業URL

https://www.trancom.co.jp/ir/

※マネックス証券/銘柄カウンターページより抜粋

コロナ前、2020年3月期の本決算の事業別売上構成は下記の通りです。

ロジスティクスマネジメント事業が売上全体の30%程度、物流情報サービス事業が55%程度を占めており、この事業が2つの柱になっています。

ロジスティクスマネジメント事業

こちらは一般的にイメージされる物流会社の業務、というところでしょうか。自社物流センターでの貨物在庫やそこからの配送・運送のサービスを手掛けて顧客から利用料金を徴収するモデルです。

全国50ヵ所の物流拠点とパートナー企業のネットワークを活用した物流サービスを提供

コロナ禍での個人向け宅配の物流増加などの追い風を受けているようです。

こちらは2020年4~9月の間の取り扱い品目の構成のようですが、やはり巣ごもり需要に適応した生活物資関連がメインになっています。

 

 

物流情報サービス事業

大きく分けるとこの事業内で提供されるサービスは以下の2つです。

輸送マッチング・配送サービス

全国32ヵ所の情報センター、約13,000社のパートナー企業、全国50ヵ所の物流拠点とパートナー企業のネットワークを活用した配送サービス。

とらなびという物流マッチングサイトを運営しており、毎日貨物や空車利用状況などが更新されています。

物流センター構築運営サービス

自社の物流センターや配送・運送の運営ノウハウを生かして、外部の顧客倉庫の管理や運営等に対するコンサルティングやソリューション提案、実際の配送・運送業務のサポート、倉庫管理システム(WMS)の提供等を行っています。

自社物流や工場運営でお悩みの中小企業向けのサービスといったところでしょうか。

 

他にもこちらの事業ではトラックリースのサービスや、「トラはた」というドライバーの求人サイトの運営等も手掛けているようです。

 

インダストリアルサポート事業

こちらは売上構成比は5%に満たないくらいですが、主には生産請負、人材派遣を手掛ける事業です。

製造業務を請負い、生産・品質・商品管理、検品・出庫といった管理業務の請負、繁忙期に対する人員補強から、自社社員のコア業務シフトに向けた請負化など、シーンに合わせた人材派遣サービスを提供。

 

 

では業績の中身をもう少し分析していきたいと思います。

 

株式基本指標

私が銘柄のスクリーニングを行う上で重要視している指標を並べてみます。

基本指標

2021/2/12時点の数値

指標

数値

市場

東証1部,名証1部

上場年

1995年4月11日

株価 8,370円
PER 15.5
PBR 1,97
ROE 13.65%
ROA 8.73%
EPS 538.54円
自己資本比率 63.7%
発行株式数 9.8(百万)株
配当利回り 1.31%
配当性向 20.7%
現金同等物 17,104(百万)円 / 2021年3月期第3四半期決算短信より
有利子負債 0(百万)円 /2021年3月期第3四半期決算短信より
利益余剰金 39,611(百万)円 / 2021年3月期第3四半期決算短信より

無借金経営で自己資本比率も高く、財務的には何ら問題ない状況です。業績も堅調に伸びており長期投資の対象としても全く問題は無さそうです。

 

独自バリュエーションチェック指標

「1%の人が知っている99%勝てる株が見つかる本」を参考に行う将来のROEや配当利回りを参考にした手法です。これで購入銘柄を決めるわけでは無いのですが、参考にしています。

こちらの各指標を使ったバリューチェックの具体的方法はこちらで解説しているので、それぞれの指標を見ていく背景説明は省きます。(詳しくは別記事で解説しています。)

経年営業利益率
2021年3月期第3四半期累計 6%

2021年3月期(予測)

5%
2020年3月期(実績) 5%
2019年9月期(実績) 4%
2018年9月期(実績) 4%
その他基本的指標 備考/目標基準
配当性向

20.7%

≧50%
増収歴(純利) × ≧4年
中期経営目標 × 無し
20年後もサービスが継続しているか? 〇/△/× で✖は投資NG
7年後の株価予想 3.9倍 ⑦の数字を市場平均利回り1.6%(2018年)で割る

長期的に見た株価上昇ポテンシャルは3.6倍程度とかなり高くなっています。

物流業界は利益率が高くない業界ですので営利率5%というのはまぁ標準くらいでしょうか。マッチングサービスなどを行ってるのでもう少し高めなのかという期待感もありましたが、そこまで現状利益率の高いサービスでは無いようです。

昨年度の事業別営業利益率

ちなみに今年は増配も実施予定の様です。

 

株価と直近業績の関係性

経年の業績推移と株価の関係

↓マネックス証券/銘柄スカウターページから抜粋

↓ここ数年の株価の動きです。

 

今年度は若干減速していますが基本的に増収・増益基調ではあります。

結構株価の動きは波が激しいです。直近の2021年1月頭にここ数年では最高値をつけています。(9,730円)

直近の決算も悪くないのですが何故かその後急落していますね。足元のPERは15倍程度ですので標準的なレベルでしょうか、PER10~12倍くらいになると割安と言えるかもしれません。

同業界、同業他社と比べるとどうでしょうか?

 

同業種内での割安度(PER)の比較

倉庫・運輸関連業種の各市場の平均PERを見てみます。

■保険業 平均 PER情報 (参考情報)

※日本取引所グループ月次業界別平均PER(2021年1月)

東証1部平均 13.4
東証2部平均 11.5
マザーズ平均 44.3
JASDAQ平均 10.2

マザーズ市場は例外的ですが、やはり他業界と比較してもは低めな傾向です。トランコムはPER15倍程度なので割安と言える水準では無さそうです。

 

直近の業績動向

では実際の2021年3月期第3四半期の足元の業績はどうでしょうか?

直近決算 2/1 日発表の第3四半期累計実績
金額(百万円) 進捗率 対前年比
売上 113,348 76.1% ▲8.5%
営利 6,290 82.3% 3.2%
経常 6,409 82.5% 6.1%
純利 4,421 83.9% 10.5%

◆四半期別業績推移

今年度は売上は昨年比割れが続いていますが、利益ベースだと増益をキープしています。何かしらの管理費用の削減が利益を押し上げているのだと思われます。

3Qまでの進捗率も利益ベースでは80%を超えていますが、3Qがクリスマス商戦等もあり過去の決算を見ても売上、利益共にピークになる可能性が高いので本年度はほぼ事前予測通りの数字でフィニッシュとなる可能性が高そうです。

細かい内訳をみていってみます。

ロジスティクスマネジメント事業はコロナ禍での個人宅配業務の好調や既存拠点(物流センタ―等)での生産性向上により大幅に増益となっています。

逆に物流情報サービスの方はどうやら輸送マッチングサービスにおける貨物輸送の需要数がコロナ禍で落ち込んでいるようです。下記グラフは2020年4~9月までのものですが、貨物情報数がコロナ禍で大きく減少してしまっています。

ただ足元の3Q単独では回復基調にあり、微増収とのことです。

 

インダストリアルサポート事業は顧客先の工場閉鎖や生産減等の影響を受け、人材派遣、製造請負もかなり減少している模様で昨年比で半減してしまっています。

 

全体で見ると、、

第2四半期に出されている決算説明書内には本年度の見通しに関してこう書かれています。

全体で見ると結局個人宅配向け等のコロナ特需の恩恵を一部受けていますが、トランコム独自のビジネスモデルともいえる輸送マッチングプラットフォームとしては苦戦しており、足踏みとなってしまっているの少々残念なところです。

コロナ禍でこうしたプラットフォーム型ビジネスが収益性を高めたり大きく需要を伸ばすことが出来れば面白い銘柄に育ちそう、とも思いましたが今のところは期待通りにはなっていないようです。

 

新規事業や将来展望

主に2021年3月期第2四半期決算説明資料(第3四半期は決算説明書が無いので)やHP、ニュース情報等から読み解きます。

長期ビジョンとして掲げる物流プラットフォーマーとしての姿を更にブラッシュアップし、収益性を更に高められると非常に面白いとは感じます。

物流業界はまだまだ効率化の余地が残されており、やりようによっては大きな成長が見込めるマーケとであると個人的にも感じます。世界規模で見ても様々な物流テックスタートアップがしのぎを削っています。(参考サイト:物流テックスタートアップ16社まとめ

トランコムの提供するとらなびのサービスは実際のマッチング業務はオペレーターが担っており、人出がかなりかかっているようで、これが利益率が3%程度と低い要因だと思われます。

即時マッチングでなく結局問合せを入れてオペレーターがマッチングを行い、フィードバックを入れる、という工程の為、プラットフォーマーとしての情報網とAIの掛け算が出来ておらずポテンシャルを持ちながら活かしきれていないな、という印象を持ちます。

勿論AIを活用すればすぐ人出が削減できるわけではなく、色々雇用の問題等も出てきますし、複雑な物流のマッチング業務を完璧に担うシステムの構築は非常にコストと時間もかかるでしょうから一朝一夕に完成できるものでは無いでしょう。

 

またDX推進室などの設立長野市に次世代DX拠点を開設を行うなど、デジタル化推進も強く意識して推し進めています。

全てのピースが上手くはまり理想のビジネスモデルが出来上がる事があるとすれば、、、非常に面白い未来が見えてくるような気がします。

※投資キャッシュフローも2020年3月期は突出しておりデジタル化投資を推し進めている事が読み取れる

 

それまでは暫し見守っていきたいな、と思います。

 

纏め・総論

個人的見解ですが総論としては下記の通りです。(あくまで見解であり、投資の有無を推奨するものではありません

財務安全性 無借金経営で全く問題無し
配当利回り/配当性向 過去の推移を見ても配当性向自体は20%前後で安定しており、且つ未来への投資も推し進めている様なので暫く配当のみの魅力は低そう
優位性 現行は特別な優位性は高く無さそうだがマッチングプラットフォームから得られるビックデータを活用できるようになると他社が真似できない強みとなり得る
業界全体の成長性 個人向け宅配需要等は暫く安定して高いと思われるが、アナログな運営による生産性はまだまだ低く、改善余地は大きそう
会社の成長性

投資を進めるデジタル化の動きが花咲くと大きな花を咲かせる可能性も

割安度

業界全体のPERや足元の業績から特別な割安感は今のところなし