【銘柄分析】(株)ファンデリー【2021年3月期第3四半期 決算】

  • 2021年2月15日
  • 2021年2月25日
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健康に配慮した総菜、お弁当などのデリバリー事業を手掛けるファンデリーですが、内食志向と健康志向の高まりがコロナ禍によって強まっている状況の中どんな業績・市場からの評価を受けているのか分析しました。

2021年1月29日に2021年3月期第3四半期の決算発表がありました。

コロナでの宅配需要と健康食というキーワードから有望銘柄になるのではないかと様子見していましたが大きく業績を落としているようです。

会社業態及びビジネスモデル

企業概要 健康食の宅配会社。メディカルフードデリバリー事業(健康食宅配、健康食通販カタログ)、マーケティング事業(カタログ誌面の広告枠販売、サンプリング等の業務受託、健康食レシピ情報サイト運営)を展開。健康食宅配ではヘルシー食・たんぱく質調整食などの200種類のメニューにより顧客嗜好に応じた選別宅配をサービス(栄養士による無料カウンセリングサービス、紹介ネットワーク数21000箇所)。健康食通販カタログ「ミールタイム」を全国の医療機関・調剤薬局・保健所・介護施設等に配布(広告枠販売)、健康食を販売(健康食通販のオンラインショップ併用)。マーケティング事業は食品メーカー・健康家電メーカー・製薬メーカー向けのマーケティング支援。その他、メディア事業(自社メディアを通じた情報提供)。2016年シャープのウォーターオーブン(家電)でサービス連携。
取扱商品
・MFD/健康食宅配(健康食/ヘルシー食・ヘルシー食多め・たんぱく質調整食・ケア食、病院、一般診療所、調剤薬局、保健所・介護施設等)
・健康食通販カタログ・健康食宅配サービス「ミールタイム」「ミールタイムファーマ」
・健康食レシピ情報サイト「はちまるレシピ」、管理栄養士・栄養士向けコミュニティサイト「Foodish」
・マーケティング(ミールタイム紹介ネットワーク、商品提案、情報提供、プロモーション、アンケート調査、健康商品のサンプリング/サンプル配布)
企業URL

https://www.fundely.co.jp/

※マネックス証券/銘柄カウンターページより抜粋

2020年7月には初の生産拠点となる埼玉工場が稼働し、SPA(製造小売業)モデルへの転換を推進している最中。

また直近の第3四半期の決算資料から見ると売上構成は下記の通り。

今年度より自社工場を活用したCID (Cooking Immediately Delivery)事業が追加されていますが、、、この事業が恐ろしいほどの赤字が出ています。

しかも売上1,200万円とは、、、

もう少し各事業の詳細見てみます。

 

MFD(Medical Food Delivery)事業

ミールタイムというメディア媒体をベースに健康食宅配サービスを行う事業です。

電話オペレーターや献立はすべて栄養士によって監修・対応されることで細かい栄養相談も兼ねた献立が安心して選べるというもの。

ただこの時代にカタログメインのマーケティングを行っており少し時代錯誤間は否めません。(PCやスマホでの使い勝手も改善中とのことですが。。。)

また各医療機関への健康食宅配を手掛けている事もあり、コロナでの外来患者数・入院患者数の減少による影響も受けているようです。

 

マーケティング事業

食品メーカー、健康家電メーカー、製薬メーカーの製品販売サポートの事業です。

既存サービスであるミールタイムや、 ファンデリー栄養士による既存顧客への商品提案や情報提供などを行う事で提携メーカーー商品の販売支援を行うモデルです。

また、医療機関の管理栄養士が考案したレシピを掲載するサイト『はちまるレシピ』、 45,000人のネットワークがある栄養士のコミュニティサイト『フーディッシュ』やシャープ家電に関する音声や画像による情報配信サービス『ポイント家電』を活用した マーケティング支援も実施とのこと(詳細はイマイチ不明)

 

CID(Cooking Immediately Delivery)事業

今年度から開始された目玉事業かと思いきや、足元は大苦戦の様子です。

昨年末に自前工場を設立し、万全の体制で開始された事業で、コンセプトは”若年層や食材の安心・安全を求める方向けに、国産食材100%を使用し、旬のおいしさを提供するサービス”

『旬をすぐに』というWEBサイトをベースに販売を試みているようですが、サイトデザインもなんか、、、イマイチですね。

SAP(製造商売業)への転換に向けた鳴り物入りの新規事業化と思われますが現状は売上は全く伸びておらず、工場建設費用(50億円程度)の減価償却費が重くのしかかり大赤字状態です。

 

足元は非常に苦しそうな状況ですが、もう少し細かく見ていってみます。

 

株式基本指標

私が銘柄のスクリーニングを行う上で重要視している指標を並べてみます。

基本指標

2021/2/15時点の数値

指標

数値

市場

マザーズ

上場年

2015年06月25日

株価 617円
PER 赤字の為無し
PBR 1.37
ROE 11.89%
ROA 5.31%
EPS 赤字の為無し
自己資本比率 35.3%
発行株式数 6.3(百万)株
配当利回り 0.49%
配当性向 5.6%
現金同等物 744(百万)円 / 2021年3月期第3四半期決算短信より
有利子負債 4,864(百万)円 / 2021年3月期第3四半期決算短信より
利益余剰金 2,435(百万)円 /2021年3月期第3四半期決算短信より

2021年3月期はQ2-3と赤字が継続しており、かなり厳しい状況ですね。

50億で投資した工場が丁度今年度Q2(7-9月)から稼働を始めており、合わせてCID(Cooking Immediately Delivery)事業が始まっているのですがこの投資負担を補えるほどの売り上げが全く立っていない状態の様です。

この資金はほぼ銀行からの借り入れで賄っている様なのでこのまま売上が伸びていかないと(せめて黒字化しないと)財務状態もかなり危険水域に入っていきそうです。

↓2020年3月期は工場への投資でキャッシュアウトし、フリーCFは莫大なマイナスに

↓2021年3月期から借入金を長期借入金に振り替えた?

 

独自バリュエーションチェック指標

「1%の人が知っている99%勝てる株が見つかる本」を参考に行う将来のROEや配当利回りを参考にした手法です。これで購入銘柄を決めるわけでは無いのですが、参考にしています。

こちらの各指標を使ったバリューチェックの具体的方法はこちらで解説しているので、それぞれの指標を見ていく背景説明は省きます。(詳しくは別記事で解説しています。)

経年営業利益率
2021年3月期第3四半期単独 赤字

2021年3月期第3四半期累計

赤字
2020年3月期(実績) 16%
2019年3月期(実績) 21%
2018年3月期(実績) 20%
その他基本的指標 備考/目標基準
配当性向

≧50%
増収歴(純利) × ≧4年
中期経営目標 2022年までの中計あり
20年後もサービスが継続しているか? 〇/△/× で✖は投資NG
7年後の株価予想 赤字の為無効

赤字が継続しており、2021年度3月期も赤字決算の予想ですのでこのバリューチェックの手法は意味を成さない(そもそもこのバリューチェック法が掲載されるこの書籍では赤字の会社には投資しない方がいい、と推奨されています)

怖いのはこの赤字は一時的なものではなく、仮に減価償却期間を20年と仮定しても50億÷20= 2.5億円程度の減価償却コストが毎年発生する事です。(定額法の前提です)

CID事業ではこれを上回る利益を安定して稼がなければこれ以上の成長は無く、更にコロナ禍で主力のMFD事業もかなり苦戦を強いられている状況ですので、実際にCID事業が立ち上がった2021年度Q2からは巨額の減価償却コストを賄いきれず赤字に転落しているわけですね。

まだCID事業が伸びている前提であればポジティブな未来展望も描けますが今期の売り上げはまだ13(百万円)程度ですので(利益じゃなく、売上が、です!!)、今のところは非常に厳しい立ち上がりと言わざる得ません。

SNSを活用した『旬チューバー』『旬すぐファクトリー2020』『旬すぐメニューCHANNEL』といった情報発信や、大量調理で生じる食品ロスの料理を即時メニュー化して販売する取り組み、銀座で期間限定のアンテナショップをオープンするなどの施策はうっているので、2021年度第4四半期(1-3月)の決算内で伸びの兆候が見られればまだ期待できる余地はあるかもしれません。

直近の業績をもう少し細かく紐解いてみます。

 

株価と直近業績の関係性

経年の業績推移と株価の関係

↓マネックス証券/銘柄スカウターページから抜粋

↓ここ数年の株価の動きです。

直近では株価の底入れが見られますが日系平均が3万円越えを記録している状況を考えれば全く上昇相場には乗れていません。

理由は既に説明した通りですが赤字からの打開策がかなり見えづらい事が大きな原因でしょう・・ここ数年の株価のピークは2018年4月中頃の2,250円程度です。足元4分1程度まで株価は減少してしまっています。

2018年度の実績EPSは69円でしたので、当時のPERは32~33倍程度でした。

コロナが、猛威を振るい始めた丁度2020年3月頃、外出自粛と健康への配慮から健康食のデリバリー事業を手掛けるファンデリーは大きく飛躍するかもしれない、と感じ動向をチェックしていましたが、全く波に乗れずに逆にこの高騰が続く株式市場の中でも稀に見るほど時価総額を減らしてしまっています。

他の類似銘柄の状況も見てみます。

 

同業種内での割安度(PER)の比較

同様のサービスを展開している他銘柄の平均PERを見てみます。街コンサービスを提供している同業他社は無いに等しいので婚活関連サービスやマッチングアプリサービスを展開している会社をみてみます。

会社名 PER

シルバーライフ

50.4

ショクブン

23.5

オイシックス・ラ・大地

27.6

シルバーライフがファンデリーと一番類似サービスを行ってい会社になるかと思います。どこもコロナ禍でも特に業績を落としているわけでもなく、むしろ巣ごもり需要を追い風にしている状況ですらあります。

ファンデリーは無理な投資と、販路及び需要先が病院にかなり依存している事がこの差を生んでいる要因かもしれません、病院はコロナ禍で大きく来院・入院患者が減っているためです。

足元の業績も見てみます。

 

直近の業績動向

では実際の2021年3月期第3四半期の足元の業績はどうでしょうか?

直近決算 1/29 日発表の第3四半期累計実績
金額(百万円) 進捗率 対前年比
売上 2,336 69.7 ▲8.6%
営利 -121
純利 -115

◆四半期別業績推移

売上も利益もずっと減収減益です、、、コロナが発生する以前からかなり厳しい業績だったようです。そんな中他の食材宅配サービスを提供する会社の様にコロナを追い風に出来れば工場投資の選択も間違いではなかったかもしれませんが、既存のビジネスモデル(病院食向け、病院を介したカタログ配布等のマーケティング)の相性が益々悪く、直近の2Q-3Qは減価償却コストも相まって赤字転落してしまっています。

↓直近の2021年度3月期第3四半期決算の内訳です、CID事業がえげつない赤字です。工場建設の減価償却はほぼこの事業に計上されているのでしょう・・・

↓減価償却コスト以外にも売上アップへの施策として投入した広告宣伝費等も重くのしかかっているようですが、売上を上げない事にはどうしようもない状況ですので、ここはある程度は致し方ないかもしれません。

 

 

新規事業や将来展望

主に2021年3月期第3四半期決算説明資料中期経営計画(Will 2022)から読み解きます。

2022年までの中期経営計画として発表されている計数目標は以下の通りです。2016年に策定されたようですが売上も利益も3倍以上アップとかなりチャレンジングな目標です。

最高益を記録した2019年3月期ですら、売上:3,394(百万円) 営利:713(百万円)ですので達成は極めて困難と言わざる得ません… 

 

事業別にポイントを、見ていきますと、

MFD事業の先行き

新規顧客数の獲得は下げ止まりの傾向が見られますが、昨年のデータになってしまうのですが、MFD事業の売上の65%近くは定期コースのユーザーなんですね。

それが右肩上がりに下がってしまっている状況でカタログ配布という時代錯誤なマーケティング手法では、少なくともコロナが完全収束するまでは回復は見込めないかもしれません。

 

CID事業の先行き

コロナで外出を控える状況下で電車内の広告やアンテナショップの出店というのは費用対効果がかなり低いのではないか、と思ってしまいます。。。

といってもこの辺のプロモーション活動は主に2020年12月に実施されたものなので、実際に顧客数獲得に響いてくるのはQ4(2021年1-3月)になるかもしれません。ここで爆発的な新規顧客獲得が出来ないとなると、抜本的にプロモーション方法を検討し直した方がいいかもしれませんね。

CID事業向けだけでは無いとは思いますが今年度は既に1億7,000万円の広告費を費やしているわけで、費用対効果をしっかり見極めてほしいところです。

その他にも食品ロスを活用した商品販売等も着手しているようですが、直接的に売り上げ増加につながる施策ではない様に思えますので、とりあえずはQ3に実施したマーケティングからQ4の結果がどうなるのかを見てみるしかないでしょう。

 

とまぁ辛口の評価ばかりになってしまいましたが、ファブレス経営(自社で工場を持たない経営)が流行の今、こうして自前で分かりやすい設備投資を行っている会社も何とか頑張ってほしいものです、、、結局経営の世界は勝てば官軍だと思いますので。

※ファブレスで有名なのはAppleやキーエンスですね。

 

纏め・総論

個人的見解ですが総論としては下記の通りです。(あくまで見解であり、投資の有無を推奨するものではありません

財務安全性 かなりの危険水域、このまま赤字が続くと最悪の結果も、、、
配当利回り/配当性向 当面は全く期待できず
優位性 病院経由でのマーケティングというのは以前は有効だったかもしれないが、コロナ収束まではかなり厳しいと思われる
業界全体の成長性 宅配、健康食というキーワードの将来性はある程度高そうです。
会社の成長性

とにかく自社工場の減価償却コストを賄いきれるぐらい効果のあるマーケティング手法を見出さないと先は無いかも、、、

割安度

足元は赤字であり割安度は全くない。