【銘柄分析】(株)アドバンスクリエイト【2021年9月期第1四半期 決算】

  • 2021年2月13日
  • 2021年2月18日
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保険代理店業界のプラットフォーマー化を目指すように見えるビジネスモデルを展開するアドバンスクリエイトですが、先日2月12日に2021年9月期第1四半期の決算発表がありましたのでこのコロナ禍での足元の業績及び将来性展望はどうなのか?を分析してみました。

会社業態及びビジネスモデル

企業概要 保険代理店会社。日本最大級の商品数を取り揃え、ブランド「保険市場(ほけんいちば)」(保険比較、個人向けの保険ショップ)で対面・非対面の保険契約を募集する保険代理店業務を営む。日本最大級の保険比較サイト「保険市場」による非対面販売、コンサルティングプラザ「保険市場」(三大都市圏のターミナルを中心に出店)による対面販売。販売商品は生命保険・損害保険・少額短期保険などあらゆる分野の保険(委託を受けた保険会社85、2020年10月)。その他、ASP事業(クラウドサービス提供)、メディア事業(広告掲載)、メディアレップ事業(広告代理店)、再保険事業を展開。2013年ライフネット生命<7157>と資本業務提携。主要取引先はメットライフ生命保険、チューリッヒ・ライフ・インシュアランス、マニュライフ生命保険。
取扱商品
・保険比較サイト「保険市場(ほけんいちば)」(ダイレクトマーケティング、インターネット・ダイレクトメール、テレマーケティング)
・生命保険・損害保険・少額短期保険代理販売(医療保険・死亡保険・年金保険・企業保険・火災保険・自動車保険・新種保険など)
・対面販売(コンサルティングプラザ「保険市場」、提携代理店による協業販売)
・再保険(医療保険等の再保険受託)
・メディア・メディアレップ(Webサイト「保険市場」の広告販売、広告運用)、ASP(顧客管理システム販売)、BPO(保険の各種保全業務の受託)
企業URL

https://www.advancecreate.co.jp/

※マネックス証券/銘柄カウンターページより抜粋

 

 

主力事業は保険代理店事業です、ネット上や対面形式で正規保険会社の商品を販売する旧来型の保険代理店事業ではありますが、こちらの会社の強みは何といっても日本最大級の保険比較サイトである「保険市場(https://www.hokende.com/)」を有している事でしょう。この保険市場を軸に様々なサービスを展開しています。

実際の売上構成の詳細は下記の通りです。

事業セグメント別売上(2020年9月期/本決算説明資料より抜粋)

保険代理店事業

2021年1月1日時点では全85社(生保27社、損保29社、少額短期29社)の保険会社の商品の取り扱いを行っています。

販売方法は非対面式(WEB/SNSやテレマーケティング)及び対面式(直営コンサルティングプラザでの対面販売、全国提携代理店での販売)となっていますが対面式はコロナ禍での苦戦が顕著に出ているようです。

直営のコンサルティングプラザは全国に11か所程度とかなり数は限られていますのであくまで集客のメインは保険市場で、プラザはリアルでのブランディングと認知の役割での意味合いが強いのかもしれません。

メディア事業・メディアレップ事業

各保険会社より保険市場のサイト上での広告枠の販売を行うモデルです。

再保険事業

各保険会社からの医療保険等の再保険受託を行います。

ASP(アプリケーション・サービス・プロバイダ)事業

顧客管理システム等のクラウドサービスの販売等も行っており、IT技術者を100人ほど自社で抱え、自社開発できることが強みですがまだまだ規模は小さいですね。

 

他にも保険証券管理アプリ「folder」というアプリを提供、ダウンロード数は40,000件を突破するなど、保険×ITテクノロジーの融合を根差すべくサービスを提供しています。

保険市場やこうしたアプリを通じて顧客とのタッチポイントを持ちながら保険の代理販売を行っていく事が基本的なビジネスモデルになっています。

では業績の中身をもう少し分析していきたいと思います。

 

株式基本指標

私が銘柄のスクリーニングを行う上で重要視している指標を並べてみます。

基本指標

2021/2/12時点の数値

指標

数値

市場

東証1部

上場年

2002年4月23日

株価 1,886円
PER 20.3
PBR 3.7
ROE 13.73%
ROA 7.58%
EPS 93.12円
自己資本比率 54.4%
発行株式数 10.8(百万)株
配当利回り 2.65%
配当性向 74.9%
現金同等物 2,321(百万)円 / 2021年9月期第1四半期決算短信より
有利子負債 328(百万)円 / 2021年9月期第1四半期決算短信より
利益余剰金 2,402(百万)円 / 2021年9月期第1四半期決算短信より

現金が有利子負債を大幅に上回っており財務面での懸念は無さそうです。保険代理店業を主に行っていますので従来の保険会社の様に金融商品への資産運用等の投資事業は行っていないため、BSや自己資本比率も金融系の会社の内容とは大きく異なっています。

 

独自バリュエーションチェック指標

「1%の人が知っている99%勝てる株が見つかる本」を参考に行う将来のROEや配当利回りを参考にした手法です。これで購入銘柄を決めるわけでは無いのですが、参考にしています。

こちらの各指標を使ったバリューチェックの具体的方法はこちらで解説しているので、それぞれの指標を見ていく背景説明は省きます。(詳しくは別記事で解説しています。)

経年営業利益率
2021年9月期第1四半期単独 8%

2021年9月期(予測)

14%
2021年9月期(実績) 11%
2019年9月期(実績) 13%
2018年9月期(実績) 12%
2017年9月期(実績) 13%
その他基本的指標 備考/目標基準
配当性向

74.9%

≧50%
増収歴(純利) × ≧4年
中期経営目標 計数目標はあるも、明確な期限を区切っていない
20年後もサービスが継続しているか? 〇/△/× で✖は投資NG
7年後の株価予想 2.6倍 ⑦の数字を市場平均利回り1.6%(2018年)で割る

長期的に見た株価上昇ポテンシャルは2.6倍程度とそれなりに高くなっています。

ただコロナ禍までは安定して利益率13%程度を稼いでいましたが、2020年の実績、2021年度Q1とかなり利益率が落ち込んでおりコロナによる管理費の増加が見て取れます。これが一時的な現象なのか、恒久的に続く問題なのかもう少し分析してみる必要がありそうです。

配当性向に関しては驚異の74.9%と上場企業の中でも上位数%に入る高い水準です。ただここ数年配当額自体は横ばいであり、配当額を減らさないようにしている半面、想定通りの純利益の伸びが達成できておらず、結果的にこの高い配当性向になっている、という可能性が高そうです。

このまま減益傾向が続いてしまうと将来的に減配という可能性も否めない状況と言えるかもしれません。

実際に2020年9月期本決算の資料内には配当性向目標値は50%以上と記載があり、これより減ることは無さそうですが今の利益水準から成長が止まると現在の配当性向の減少(最悪50%まで)⇒配当額の減額というシナリオが発生する可能性はあります。

 

株価と直近業績の関係性

経年の業績推移と株価の関係

↓マネックス証券/銘柄スカウターページから抜粋

↓ここ数年の株価の動きです。

 

ここ5年間では2018年9月末頃の2,545円がピークでした。当時(2018年9月期決算)のEPSが73円でしたのでPERは35倍程度と大分割高水準ではありましたが2016度年~2018年にかけては業績の伸びが大きく、かなり市場の期待感が高まったのでしょう。

その後は期待より業績が延ばせず、更にコロナ禍で減益となり2020年9月期の実績は700(百万円)/EPS65円程度と、これは2017年以前の水準に逆戻りしてしまっていますね。

なので足元の株価は当時と殆ど変わっておらずある程度妥当な水準だと言えるかもしれません。

同業界、同業他社と比べるとどうでしょうか?

 

同業種内での割安度(PER)の比較

保険業の各市場の平均PERを見てみます。

■保険業 平均 PER情報 (参考情報)

※日本取引所グループ月次業界別平均PER(2021年1月)

東証1部平均 14.2
東証2部平均 無し
マザーズ平均 323.6
JASDAQ平均 14.3

アドバンスクリエイトは保険業というよりは保険代理店業なので、業界平均値はあまり参考にならないかもしれません。卸売り業の東証1部の平均PERは14.1なので保険業とあまり変わらないですね。

そもそも同業他社が少ないのですが似たような保険販売代理業やオンライン保険会社、ペット保険等の銘柄と比較してみます(2021年2月時点)

会社名 PER
アイリックC 33.6
アニコムH 46.6
アイペットH 赤字
ライフネット生命 赤字

唯一似たビジネスモデルを展開しているのはアイリックでしょうか。ただこちらは保険販売代理業が約60%でソリューション・システム販売が40%と、SaaSの比率が高い事からPERの水準も割高になっていますね。

アドバンスクリエイトは保険代理店業が売上の75%程度とまだまだ高く、20%程度にしか過ぎないSaaSに当たるメディア/ASP事業の比率をもっと伸ばしていけると市場からの評価が高まり、PER30倍越えという水準も再び見えてくるかもしれません。

 

直近の業績動向

では実際の2021年9月期第1四半の足元の業績はどうでしょうか?

直近決算 2/12 日発表の第3四半期累計実績
金額(百万円) 進捗率 対前年比
売上 2,573 22.4% ▲2.5%
営利 215 13.7% ▲27%
経常 186 12.4% ▲32.9%
純利 92 9.2% ▲47.6%

◆四半期別業績推移

先日発表されたばかりの2021年9月期第1四半期の結果はかなり厳しいものとなりました。2020年9月期の第4四半期の決算が上向いていただけにコロナ禍での営業・販売スタイルを確立し順調に業績を伸ばしていく期待感もあったのですすが、そう上手くは行かなかったようです。

細かい内訳をみていってみます。

セグメント別の売上高ですが保険代理店業はほぼ昨年比と同等ですがメディアレップ保険会社等の広告運用を受託)は微増、他は減少となっています。ただ売上全体では3%程度の落ち込みとなっていますがそれ以上に営業利益以下の落ち込みが著しいです。

2021年9月期第1四半期決算短信を見ると、売上総利益は▲1%程度の減少ですが、販管費が4%程度増えています。

決算短信内には

(保険代理店事業)
直営コンサルティングプラザでの販売実績は前年同期を上回りましたが、一部の品質手数料について収益計上の時期がずれたこと、及びIT関連コストの増加により、減収減益となりました。

販管費の増加はコロナ禍に適応するためのアプリ開発、ソフトウェア開発への投資費用の増加という事の様です。実際にキャッシュフローの推移見ても2020年9月期の投資キャッシュフローが2012年以降では最大規模になっており、その減価償却が営業利益を押し下げているかと思われます。

(2020年9月度に投資した資産に対しても減価償却の計上は使用を開始した年度から計上されるので、今年度に減価償却の計上が始まり管理費負担が増えている可能性が高そうです)

 

※参考情報

2020年度は社債の発行も行っていますので投資資金の確保を狙った動きかと思われます。

 

2021年度9月期の業績は、、、

少々先行きが不安な面はありますが、下記チャネル別申し込みANP額を見ると昨年比わずかに増額となっていますので、売上としては大きく落ち込んでおらず、今後はコスト増を吸収できるだけの増収、新規事業(ASP販売によるストック型売上の確立等)がより重要になっていきそうです。

ただ第1四半期の営利~純利までの今年度目標の進捗率は14~10%程度と大幅ビハインドとなっており、果たして今年度目標数値の達成が可能なのか、、、かなり疑問を持ってしまいます。

 

新規事業や将来展望

主に2021年9月期第1四半期決算説明資料から読み解きます。

決算資料内には一応目標とする経営指標が記載されていますが実績値と大分かけ離れており、次期目標も掲げられておりません。

ここまでかけ離れていると、何を根拠にこの数字を掲げているのかよくわからなくなるので、具体的道筋を示すか、現実的な目標値を期限付きで掲げるか、した方がよほどいい気もしますが、、、

ただ効果のほどはまだ未知数ですが幾つかの次世代に向けた施策は売っているようです。

下記の様に自社内にITエンジニアを有し、ソフトウェアの開発を内製化出来る事は大きな強みかと思います。

特に下記の様なSaaA型のビジネスモデルを推進していく中では非常に重要なポイント化と思います。

↓2021年3月外販開始のオンライン保険相談に特化した通話システム

↓顧客管理システム

全国に散らばる損害保険代理店業者は172,191(2019年度)あるそうです。(日本損害保険協会のデータより)生保及びその他の代理店データは見つかりませんでしたが、最低でもこれだけの数の代理店があるという事です。

下記資料は2021年1月の共通プラットフォーム(ACP) の導入ID数ですが、約8,000件となっています。市場規模としてはまだまだ伸びしろがありそうです。

ただ本年度第1四半期のASP(アプリケーションサービスプロバイダ)事業ですが、売上は46百万円(前年同期比15.3%減)、営業利益は11百万円(前年同期比16.2%減)でした。

利用ID数が伸びているのに減収・減益とはどういうことなのでしょうか、、、プランによって単価が違っており、廉価プランへの切替が進んでいたり、無料会員の様な存在がいるのかと思われますが、このID数と今後のASP事業の伸びの因果関係はもう少し注視していきたいところです。

やはりプラットフォーム型ビジネスなので利益率が高く、通話システム(DYNAMIC OMO)と共に今後シェアを伸ばせれば大きな利益柱となる可能性は高そうです。

また、顧客側の利便性向上やオンラインでのタッチポイントとしてFolderというアプリケーションを提供しています。今後こうしたITサービスをSaaSとして上手くサブクリプションモデルに持っていけると更なる業績の飛躍及び市場からの評価も大きく高まることが期待できます。

 

 

纏め・総論

個人的見解ですが総論としては下記の通りです。(あくまで見解であり、投資の有無を推奨するものではありません

財務安全性 現金は有利子負債を大幅に上回っており懸念無し
配当利回り/配当性向 配当性向は非常に魅力だがこの業績が続くと将来的な減配の可能性あり
優位性 足元は保険市場をベースとして一定のポジショニングを築けている
業界全体の成長性 保険業界全体として見ると人口減少、家計のコストカット等から伸びは期待できない
会社の成長性

現在進めるDX化によってSaaS型のビジネスモデルを軸に出来ると大きな成長性見込める

割安度

足元の業績見ると現時点では割安感はない