【銘柄分析】(株)アドバンテッジリスクマネジメント【2021年3月期第3四半期 決算】

  • 2021年2月8日
  • 2021年2月14日
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さて前々から注目していました(株)アドバンテッジリスクマネジメントですが2021年3月期第3四半期 決算が2021年2月5日に発表となりましたので、分析してみます。

会社業態及びビジネスモデル

企業概要 メンタルヘルスのトップ企業。メンタリティマネジメント(ストレスチェック、カウンセリング、組織分析、予防、研修)、就業障害者支援(補償保険販売、復職支援)、リスクファイナンシング(保険商品提供)を展開。団体長期障害所得補償保険は国内トップ、EAP(従業員支援プログラム)サービスはトップクラス。ストレスチェック結果の集団分析データを活用した組織改善、ストレス耐性やEQ(感情マネジメント力)に着目した人材採用・育成、エンゲージメント尺度(仕事への熱意度)に基づく組織活性化、顧客の個別ニーズに対応したGLTD制度の設計・運営などサービス提供。2014年中堅・中小企業向けストレスチェックサービス分野でキヤノンマーケティングジャパン<8060>と業務提携。2018年アトラエ<6194>と業務提携(「アドバンテッジwevox」を販売)。2019年休職者管理支援システム「ハーモニー」新システム開発を開始。主要取引先は東京海上日動火災保険。
取扱商品
・メンタルヘルスケア(エンゲージメント向上「プレミア リンク」、ストレスチェック「アドバンテッジ タフネス」、パルスサーベイ、アドバンテッジEAP、カウンセリング)
・メンタルヘルスケア(メンタルヘルス研修、e-ラーニング、健康経営支援、睡眠問題解消アプリ、ハラスメント防止、メンター、産業医サービス、健診結果管理、退職・休職予測)
・採用・EQソリューション(適性検査、EQ向上研修、パート・アルバイト向け適性検査)
・就業障がい者支援(GLTD/団体長期障害所得補償保険、休業者・復職者管理システム、リスクファイナンシング)
企業URL

https://www.armg.jp

※マネックス証券/銘柄カウンターページより抜粋

 

事業基盤としてはこの3つの事業が柱。(2020年3月期/決算説明資料より抜粋)

上記スライドから分かる通り、メンタルマネジメント事業が売上/営利の大部分を占めています。ただリスクファイナンス事業は売り上げに対しての利益率が非常に高く非常に収益性が良い事業なようです。

メンタルマネジメント業務としては独自ノウハウから作られるストレスチェックからリスクになりうるストレス状態はもちろん、生産性向上に直結するエンゲージメントの状態まで見える化、ここで過去から蓄積してきているビッグデータをサービスに活用。

上記ビックデータ解析の結果を踏まえてカウンセリング、コンサル、各種研修、eラーニング等といった具体的なソリューションを提供しています。

主にはB to Cを対象として各企業向けにこうしたサービスを提供するビジネスモデルです。

GLTDと呼ばれる「病気やケガで働けなくなった際に給料を補償する保険」商品の販売等を行うリスクファイナンス事業も手掛けています。

※GLTD = 「団体長期障害所得補償保険」を意味する“Group Long Term Disability”の頭文字をとったもの。

企業向けメンタルヘルスサービスを提供する企業としては最大手であり唯一の上場企業です。

昨年までのデータですがサービスの利用者は年々増加。

2020年度はコロナ禍で集団研修等が開催できず少々苦戦している様子です。

 

 

株式基本指標

私が銘柄のスクリーニングを行う上で重要視している指標を並べてみます。

基本指標

2021/2/5時点の数値

指標

数値

市場

東証1部

上場年

2006年12月13日

株価 690円
PER 27.5
PBR 3.38
ROE 20.87%
ROA 12.19%
EPS 25.1円
自己資本比率 60.3%
発行株式数 17(百万)株
配当利回り 1.45%
配当性向 39.9%
現金同等物 2,983(百万)円 / 2021年3月期第3四半期決算短信より
有利子負債 170(百万)円 / 2021年3月期第3四半期決算短信より
利益余剰金 3,097(百万)円 / 2021年3月期第3四半期決算短信より

ほぼ無借金経営で現金もタップリ、ビジネスモデル的には大きな固定資産を持つような形ではありませんので、財務的にはかなり安定しているといえます。

長期投資先の財務面での条件はクリアしていそうです。

 

独自バリュエーションチェック指標

「1%の人が知っている99%勝てる株が見つかる本」を参考に行う将来のROEや配当利回りを参考にした手法です。これで購入銘柄を決めるわけでは無いのですが、参考にしています。

こちらの各指標を使ったバリューチェックの具体的方法はこちらで解説しているので、それぞれの指標を見ていく背景説明は省きます。

経年営業利益率
2021年3月期第3四半期単独 20%
2021年3月期第3四半期累計 12%

2021年3月期(予測)

18%
2019年(実績) 19%
2018年(実績) 18%
その他基本的指標 備考/目標基準
配当性向

39.9%

≧50%
増収歴(純利) × ≧4年
中期経営目標 2020年までの目標でそれ以降はまだ無し
20年後もサービスが継続しているか? 〇/△/× で✖は投資NG
7年後の株価予想 2.4倍 ⑦の数字を市場平均利回り1.6%(2018年)で割る

2020年はコロナの影響もあり業績が減収減益予想となっています。

ただ利益率やROEは共に高く、且つメンタルヘルス業界ではこれといった競合が見当たらないことからメンタルヘルスそのものがフォーカスされれば爆発的に延びるポテンシャルはあるのかもしれません。

 

株価と直近業績の関係性

2016年以降は一貫して業績を右肩上がりで伸ばしてきていましたが2020年は減収減益の予想となっています。

コロナ禍での企業向け研修やコンサル等のサービス提供が大きく制限されたことが要因と言えそうです。後程詳細は別途分析します。

経年の業績推移と株価の関係

↓マネックス証券/銘柄スカウターページから抜粋

↓ここ数年の株価の動きです。

2017年∼2018年をピークに停滞気味ではあります。業績が一気に上向いた2016~2017年にかけて市場からの期待が一気に高まった事が見て取れます。

2018年3月期のが33円で2017年半ばのピークの株価は1,500円程度ですので、当時のPERは45∼50倍程度 (2017年3月期のPERを使用すると70倍!!)、とかなり過熱感が強かったことが分かります。その後業績は堅調に伸びていたものの、市場が期待する程の成果を見せられずに徐々に右肩下がりとなっていってしまったようです。

直近の業績動向

では実際の2021年3月期第3四半期までの足元の業績はどうでしょうか?

直近決算 2/5 日発表の第3四半期累計実績
金額(百万円) 進捗率 対前年比
売上 3,947 70.5% 3%
営利 463 72.3% ▲26.5%
経常 467 73.0%

▲26.1%

純利 319 75.1% ▲24%

2021年3月期はQ1-2はコロナの影響もあり大きく前年比でダウン。しかし直近で発表されたQ3の業績を単独で見ると、大きく回復しており、昨年比比較でもアップとなっています。

現時点で進捗率はほぼ75%となっており、下期偏重型(Q3-4に売上、利益が集まる)のビジネスモデルでもあるので、Q4(2021年1-3月)も上振れが期待され最終的に営業利益は800(百万)程度で着地する可能性もありそうです。

直近の決算短信内にもこんなコメントがありました。

(メンタリティマネジメント事業)

当事業におきましては、健康経営・人材開発支援事業のプラットフォーム確立に向け、ストレスチェック結果に基づく職場環境改善や組織活性化のためのソリューション商品のラインアップ拡充を図り、企業の健康経営・人材開発を支援する事業領域でのビジネス拡大に取り組みました。

また、ミドルマーケットをターゲットとした新規顧客開
拓、WEBを活用した遠隔地向けリモート営業体制構築等、営業活動の効率化を図るとともに、ポストコロナ・ウィズコロナ時代におけるメンタルヘルス対策やハラスメント対策、健康経営推進といった、顧客企業の組織課題解決への関心の高まりに対応したプロモーションを推進いたしました。なお、昨年2月以降、新型コロナウイルス感染症拡大の影響により一部のソリューション商品の提供が困難になりましたが、オンラインによる研修サービス提供やSNSを活用した手軽に利用可能な個別相談機能の開始、在宅勤務が急速に進む中でのストレス対処スキル向上サポートプログラム提供等、今後の業務環境の変化を見据えた対応を実施いたしました。

当第3四半期連結累計期間の売上高につきましては、集合研修の延期や中止等の影響があった一方で、法制化対応
商品「アドバンテッジタフネスシリーズ」に加え、産業医紹介サービスが伸長し、増収となりました。費用面につき
ましては、中期経営計画を踏まえた新たな商品及びサービス開発体制の強化や、ストレスチェック後のソリューション商品提供に注力した営業活動への積極的な人的資源の投下を実施した結果、経費負担が増加しました。
これらの結果、メンタリティマネジメント事業の売上高は2,940百万円(前年同期比1.3%増)、営業利益は607百
万円(前年同期比19.3%減)となりました。

黄色マーカー部分の記載の通り、コロナ禍での営業やサービス提供方法が要約確立されてきた、という事かと思います。

半面、赤字マーカー箇所の様にQ1-2はその整備や営業活動への経費が増大したことも収益押し下げの要因となっているようです。実際にQ1-3の累計の一般管理費は10%程度近く増加しているようです。

↓Q2までの経費増減要因

 

また、下記データからも分かるようにQ1-2は顕著に研修実施件数が減少していますが9月以降回復傾向がみられます。

実際にQ3単独の業績を見れば明らかに回復していますので順調に10-12月も復調した事が予想できます。

↓その背景としてこういったリモート型のサービスが定着し始めたと思われます。

 

 

 

同業種内での割安度(PER)の比較

明確な同業多種があるとは言えませんがサービス業に分類されるようなので、各市場の平均PERを見てみます。

■情報・通信セクター 平均 PER情報 (参考情報)

※日本取引所グループ月次業界別平均PER(2021年1月)

東証1部平均 33.9
東証2部平均 27.9
マザーズ平均 67.4
JASDAQ平均 25.5

足元のアドバンテッジRMのは27.5倍ですので東証1部のサービス業内でもやや割安、また業績も上向き傾向ですので仮に来年度のEPSが2019年度並みの37円程度に回復するとなると、予想は20倍程度になりますので中々割安と言えるかもしれません。

配当性向に関し

配当性向は基本的には25~30%という方針を打ち出していますが2020年度に関しては予想純利益は33%程度減収であり、配当は11円⇒10円と減配ながらもほぼ維持されており、結果、配当性向は39%と少し高めになっています。この先もよほど大きな減収が無い限りはこの配当レベルは維持されていく可能性が高そうです。

 

新規事業や将来展望

主に2021年3月期第2四半期決算説明資料中期経営計画資料から読み解きます。(第3四半期は決算説明資料が発行されないので)

2020年度をターゲットにした中期経営目標が具体的計数目標と共に開示されております。それによると売上70~80億、営利13~17億となっていますが、残念ながらコロナの影響もあり目標は大幅未達で終わりそうです。

まだこれ以降の計画は発表されていませんが、2019年度の営利実績が9億円程度ですので1.5倍もの伸長が必要でした。成長率から鑑みれば2020年度は仮にコロナの影響がなくても営利は10億円前後だったとも考えられ、かなり厳しい目標でした・

来年度以降の中期経営計画は未発表ですが、2021年度本決算(5月頃?)に発表されるのを内容と共に期待したいと思います。

ただ、将来展望として見ると企業の従業員に対するメンタルケアの需要は高まる可能性が高く、この領域では既にかなり高いポジショニングを築いている同社は時代の潮流に乗れる可能性は高いと考えます。

また上記中期経営計画内スライドにも記載のある通り300万人分のストレスチェックのビックデータを活用したプラットフォーム型ストックビジネスに移行していけば非常に面白いです。

次期中期経営計画でこのデータ活用プラットフォーム案(自社開発?買収?提携?)の具体案が明示されるとかなり面白いですね。

メンタルヘルスケアの全体市場として見ると、少し古いデータですが厚生労働省の統計によると、精神疾患患者数は年々増え続けています。

特に2020年はコロナの影響により将来への不安感も増し、リモートワークが当たり前になる事によって、コミュニケーションを密に行う事が難しくなり、企業として従業員のメンタルケアの方法を見直し、一層力を入れていく必要性が高まるかもしれません。

 

纏め・総論

個人的見解ですが総論としては下記の通りです。(あくまで見解であり、投資の有無を推奨するものではありません

財務安全性 全く問題無し
配当利回り/配当性向 配当自体は魅力低い
優位性 目立った競合はいなく業界内の地位は高く、高い利益率が維持できる可能性高い
業界全体の成長性 成長余地あり
会社の成長性

データをベースにプラットフォーマーとしての具体計画が出されると面白い

割安度

足元割安では無いが、来年以降の業績見込みや、業界平均から見ると割安な可能性あり